戦国BASARA

□初めて恋に落ちた人
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「好きだ」

1番自分が驚いた。




桜がもう少しで散り終わる、そんな奥州に遊びに来ていた幸村がふと桜を見に下町に行きませんか?と、言うから桜を見に来たのだが、


(「beautifulだ…」)

桜が、
ではなくて幸村が
いつもの武将服ではなくて紅い着物を着た幸村は桜によく映えていた。

「政宗殿っ!!」

幸村が振り向いて俺の名前を呼ぶ。

そうしてまた前を向いて走って行く

ああ、駄目だ
行ってしまう

桜吹雪の向こう側に幸村が走れば走るほどどこか遠い、手の届かない所へ行ってしまいそうで…
駄目だ…!!
「っ幸村!!!」

気が付いたら名前を呼んでいた
幸村が振り帰る
…俺は何を言うつもりだったんだろう
言葉の続きをなかなか言わない俺を不思議に思ったのか首を傾げ
「…政宗殿?」


そんな幸村は本当に消えてしまいそうで、眩しくて、
愛しくて

「好きだ…」

それは呼吸をするようにするりと出た言葉
自分でもとても驚いた。
そして…
驚いただろうな…、幸村。
そう思いそらしてしまった顔をずらし幸村の顔を見ると
一瞬きょとんとして、けどすぐにいつもの笑顔で

「某もでございます!!」


そんな風に、そんな笑顔で答えるから


「うっ嘘だ」

なんて、言うと、幸村はいつもの大きな声で

「嘘ではございません!!この幸村、生まれてこの方嘘など着いたことがございませんゆえ!!」


そんな風に必死になって否定するもんだから嬉しくて思わず笑ってしまう。
そんな俺に幸村は頬を膨らませ、怒っている。
多分俺が信じてないと思っているのだろう。

さて、あまりほっておくと拗ねるからな…

そうして幸村が消えてしまわぬように俺も桜吹雪の向こう側へ走って行くのだ。






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