廻る魂達の重奏曲

□♪響き合うためには
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どうしてこんな事になったんだ。俺とジーニアスとコレットの三人で暮らしてた日々はまさかの終わりを告げた。この前授業で習った正当防衛は他人には使えないんだな。



授業が終わり、ホームルームも済んだ中等部3年の教室。
「ロイドって大丈夫なのかよ。成績めちゃくちゃ悪いんじゃねーの?」
「大丈夫だって。一緒に住んでるジーニアスが教えてくれるから。それにインハイで成績をあげれば推薦入学で上にあがれるって」
放課後クラスメートに声をかけられ、ロイドは竹刀袋を肩にかけながら答えた。
「うわぁ。ロイドからインハイとか推薦入学とか聞くの気持ち悪いなぁ」
「ば、馬鹿にするなよ!」
「剣道関連ならロイドは馬鹿みたいに賢いから仕方ないだろ」
クラスメートに押され、ロイドは怯んだ。
「それより稽古に行こうぜ。遅れると怒られるしさ」
「あー、今日の先生はクラトス先生だっけか?」
「こえーよな。あの先生」
口々に怖い発言を連発してロイドとクラスメート二人は道場へと歩いた。



「甘い!」
「うわぁ!」
クラトスが竹刀を払って胴を叩き込み、ロイドが道場の床の上で倒れた。
「竹刀の握りが甘い。もう少し何とかしろ」
「くっ、言われなくても」
呟くようにクラトスへ返してロイドは立ち上がった。
「ロイド先輩!休憩です!」
剣道部の2年生が声を張り上げてロイドへ合図した。ロイドはクラトスに蹲踞して離れ、面を外した。
「お疲れさまです!」
「あー、ちくしょう。また勝てなかった」
「ロイド先輩も惜しいのが何本か入っていました」
「お、ほんとか?」
「本当ですよ」
小手を取ってタオルを貰ったロイドは時計を見て目を見開いた。時計の短針は6を指していた。
「しまった。今夜の食事当番俺だったっけ」
「行ってください。ロイド先輩は家の用事があると先生に言っておくので」
「ああ、悪いな!」
大急ぎで防具を片付けて道場前で一礼するとバタバタと出ていった。



「今日何作ろうか」
学生がリュックを背負い、エコバッグを片手に歩く姿も地元では気にならないほどになっていた。
「……?」
何かの鈍い音、聞き覚えのある声の悲鳴。ロイドはまだ何も入っていないエコバッグをリュックに捩じ込むと走り出した。
「コレット!!」
叫んで角を曲がったところでロイドは目を伏せた。まるでカーテンを開けられて光が急に射し込んだかのように眩しくなった。
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