廻る魂達の重奏曲

□☆♪たまには?
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今日の練習中、あり得ない事が起きた。

「だああぁぁ!」
パシッと面の叩く音。そして倒れていたのはガイだった。


「何か調子が悪いのか?」
面をとったガイにアッシュは訊ねた。
「いや…、そんな事は」
「でもおかしいよ!ガイがあんなにあっさりと一本を決められるなんて」
面をとって胴をもう一度きつく締めたルークがガイを見た。
「確かにおかしいな。うちの学校で一番剣道が強いガイがやられるなんて」
「練習に励んでるんだろ?俺がやられるぐらいに」
「じゃあ行ってくる!」
面を片手にルークはガイの相手をしていた生徒のところへ行った。
「天性の才能があったとしても」
竹刀を構えて今から始める二人を見てアッシュは話を続けた。
「前世であれだけの剣術を持ってたんだ。ガイも、ルークも、俺も」
生徒の振り上げた隙を逃さずルークは胴を入れた。
「昨日給料が入ったんだ。俺がガイに勝ったら奢ってやる」
「ははっ。俺は強いぞ?」
「そこまでっ!」
審判の声が上がり、試合は終了した。圧倒的にルークが押して勝利した。
「やっぱりルーク先輩は強いですね!」
「そ、そうかな?もしかしたら俺も先輩に鍛えられてるからだと思うけど」
「退け、ルーク」
面を付けたアッシュが低い声で言った。
「燃える焔のような籠手…、アッシュ先輩の本気だ」
生徒の一人がアッシュを見て呟いた。
「審判さん。見てるだけにしてくれないかい?止められると調子が狂うから」
自分の袋から通常の長さに近い竹刀ともう一本短い竹刀を取り出した。
「二刀流?でもあれって昔の件もあって禁止って」
「ちげーよ。今でも極少数の人がやってるって話だ」
「ガイ先輩そんなのできるのか?」
「ガイ先輩だからできるんだ」
呟くように言っていた生徒の後ろにルークは立っていた。
「見てたらわかるさ。あれがガイ先輩の本気だから」
正座で座っているルークに習って他の生徒も二人の勝負を正座で見守った。
「始め!」
審判が合図をすると同時に二人は鍔迫り合いになっていた。
「行くぞ!ガイ!」
「さあ来い!アッシュ!」
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