短編集

□☆居場所
1ページ/1ページ

俺はルーク・フォン・ファブレ。キムラスカ王家と姻戚関係にあるファブレ公爵家の一人息子だ。
…だけど本当はレプリカで『ルーク』じゃない。父上の血も母上の血も引いてない。それどころか、俺、人じゃ、ないんだ。けど、ガイも、ジェイドも、アニスも、ナタリアも、それからティアも。みんな俺をちゃんと人だって、『ルーク』だって一つの存在だって認めてくれてる。
けど、俺の家族は誰なんだろう。
俺はさ、『ルーク』だけど『ルーク・フォン・ファブレ』じゃない。父上と母上の子供じゃない。
じゃあ俺は誰の子?
「誰の子でもよろしいではありませんか!」
ナタリアに怒られた。
「そうね、レプリカという存在を創った人じゃないかしら」
ティアはそう言ってくれた。その後、貴方は貴方よって怒られたけど。
「んー、フォミクリーはジェイドが発案者だからジェイドか?」
真面目に相談に乗ってくれたガイ。けど困った顔して、アレは却下だよなって笑った。
「じゃあさ、大佐に向かって[お父さん]って言ってみたら?当たって砕けろ〜♪」
アニス…、他人事以上に楽しそうだな。……砕けるから。それに、俺、ジェイドの罪で、そんな事言う資格、ないんだ。そうやって皆に言ったら、
「そんな事わかりませんわ!」
「そうよ、試しもしないで逃げていては駄目!」
ってナタリアとティアにまた怒られて、
「あー、卑屈癖はんたーい!」
「はんたーい!!」
ってガイとアニスに叩かれた。
なんか論点ズレてないか?俺別にジェイドに[お父さん]って声かける事に悩んでたわけじゃないけど。つべこべ言わずに行けって言われた。絶対四人でジェイドがどんな反応するか賭けて楽しんでるんだ。っていうか行かなきゃ俺、アニスにトクナガで潰される…。けどさ、自分で言うのもなんだけど今俺必死に考えてる。
アニスの般若の形相の[鷹爪襲撃]で潰されるのと。
ジェイドの凄い笑顔の[インディグネイション]で消し炭にされるの。
今引いて100%潰されるくらいなら、1%でも雷が落ちない方にかけた方がいいかな?凄いよ、俺。レムの塔で障気中和するより命懸けの崖っぷち。あ、でも。
いつの間にか後ろ向きな気持ち、なくなってる。
みんなのおかげ。
ああ、みんながいてくれる。
ここが俺の、『ルーク』の場所。
ちなみに思いきってジェイドを「父さん」って呼んだらインディグネイションは来なかったけど、笑顔で「頭の悪い子は要りません」って言われた。
泣きついたら、またみんなで慰めてくれた。
更にちなみに言うと「ツンデレなんだよ、あのオッサンは」って言ったガイがいつの間にか後ろにいたすっごい笑顔のジェイドに消し炭にされた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ