新帝国建立祭

□命懸けの鬼ごっこ
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商店街を走っていれば、前方に金髪と赤髪を見つける。何か話しているようだが、そちらもジェイドに気付いたようで、すかさず駆け出す。
「ナタリア!ルーク!いい加減になさい!」
後ろからその姿を追えば、ピタリとルークが動きを止めて振り返っている。何をするのかと思えば、一言ごめん!と言った後、拳を振り上げる。
「魔神拳!」
「く…!」
ジェイドは飛んでくる斬撃を防ぐ為、左手を出すが、今の状態でそれはタブーだと思い出すと、ちら、と後方に人がいない事を確認し跳躍して回避する。
「ルーク!いい子ですから、言う事を聞きなさい!」
「だって、ナタリアもアニスもこえーし!」
確かにルークには女性陣(特にアニス)は恐怖の対象だろう。何せ裏を知ってしまっている。だが、何も剣まで抜かなくても、と思う。ルークはしっかりと剣を構えて、ジェイドを迎撃する気満々だ。ジェイドも咄嗟に腕を振り、槍で薙ぐ。カァンッと打ち合う音が響き、槍と剣が接触する。
「ジェイド…ごめん…!」
「そんな泣きそうな顔で謝りながら攻撃しないで下さい…!」
既に、互いに懇願が入っている。ルークは逆らえない何かがあるし、ジェイドはルークのその表情に弱かった。そうしていると。
「鷹・爪・襲・げーきっ!」
上空から高らかな声が聞こえ、そこ一帯に影ができる。はっとしてルークとジェイドが上を見上げれば、見慣れた人形が落下してくる。
「うわっ!?」
それはルークまでもを巻き込むつもりだったらしく、見事に墜落した。というより、回避したジェイドは逃げ延びたが、ルークがトクナガの下敷になった。
「あれ!?ルーク!?」
トクナガの上に乗っていたアニスは下を見て声をあげる、がルークは目を回していて返事が返る事はなかった。アニスがきょろきょろと周りを見れば、ナタリアを追いに走っているジェイドの後ろ姿だけが目に入った。
「覚えてろー!この陰険鬼畜軍人!」
叫ぶ声はジェイドに届いたかどうか。
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