雛見沢決戦編


□拾壱
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富竹が捕まったことで入江は診療所を脱出した。もちろんその場で富竹を助けに行くことも出来た。しかし、自分1人の力ではどうしようも出来ないのだ。

赤坂と予め決めていた緊急時の連絡、電話を鳴らし続けたままで、入江は診療所から逃走した。



敵は黙って見過ごすはずもなく。
入江はみんなが集まる園崎家に向かって車を走らせた。途中、追手にタイヤを狙撃され事故を起こした入江は、詩音と葛西に助けられた。








「お姉たち、どっから来てんですか。さては地下にいましたね?」



「んなことはどうでもいい!監督は!?」



「まさか、やられたのか!?」








圭一の言葉で何やら厄介事に巻き込まれていることを詩音は悟る。
レナが説明しようとする中で、圭一は入江に事情を尋ねた。








「…ぅぅ、すみません。富竹さんが山狗に捕まりました。私は、逃げる時にヤツラに追われて、事故を起こしてしまい………」








入江は簡単に一部始終を説明した。
みんな入江の無事を喜ぶが、魅音とリボーンは表情を強張らせる。








「追われてる!?」



「……………あまりいい状況とは言えねぇな」



「尾行はなかったよッ!!」








葛西が中に入るよう促すのと同時に、車が近付いてくる音が聞こえてくる。
その音から一台ではないことがわかる。

どうやら良くない雲行きである。








「つけれてんじゃねぇか、このアマァ!」



「詩音のばかー!!!!」



「つけられてないもん、お姉のばかー!!」








獄寺とたくましい姉妹たちに葛西は地下に急ぐように声をかける。地下から沙都子、蒼唯、クロームが心配して様子を見に出てくるが魅音は地下に戻るよう指示。

車を降りた山狗たちは軽々と塀を飛び越えて侵入してきていた。
森の木立の中を駆け抜け、窪地にある地下祭具殿の入口を目指す。



沙都子と蒼唯の仕掛けたトラップに山狗が足留めされている間に、地下祭具殿の扉の中に次々飛び込んでいく。








「閉めるよッ!!みんな力を貸してッ!!」








重い扉も、力を合わせれば軽々だった。
魅音は素早く鍵を掛け、さらに重そうなかんぬきも掛けた。








「これで、もう大丈夫………かな」



「破られないか、心配だよね、よね」








綱吉とレナが心配そうに扉を見つめる。
連中は荒事に慣れていると葛西が言い終わらぬ内に、目の前の扉が外からドンドンと叩かれる。

入江の謝罪も、詩音の不満もとりあえず今は何も言わずみんなは地下の奥、梨花のいる隠し部屋に向かう。















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