雛見沢決戦編


□拾壱
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◇対決◇
譲れない真っ向勝負















今、大石は戦っている。
ボクらを守るために、雛見沢に暮らす2000人の村人を守るために戦っている。
想いを背負って戦っている。

富竹も入江も、自分の命の危険を省みずに戦っている。守るべきもののために、覚悟を決めて立ち向かっている。
どうかみんな、無事でいてください。



ボクらは園崎家にて富竹からの連絡を待つことになっている。今は山狗を警戒して、梨花は園崎家地下の祭具殿に隠れた。
地上の様子は監視かめらを通して伺っている。

もしも富竹の身に何かあったらと思うと、ボクは不安に震えていた。
最悪の場合も考えておかなければならないが、富竹の無事は信じてる。入江も、大石もきっと大丈夫だ。








「蒼唯、大丈夫?」



「大丈夫だよ、大丈夫」



「……………無理しないでいいよ、不安で怖いんだよね」








俯いていたボクを覗き込み声をかけてきた綱吉の言葉に、ボクは顔を上げた。
そこには優しい微笑み。
強がって隠していた不安を見透かし、全てを包み込むことで打ち消し、安心を与えてくれた。








「きっと大丈夫だよ。それに、蒼唯には俺達が、『仲間』がついてるからね」



「綱吉………、ありがとう」








綱吉は優しく微笑みを浮かべた。
さっきまであんなに不安だったのに、今は穏やかな気持ちでいられた。

傍にいて、笑ってくれただけなのに。
こんなにも心が癒される。








「ダメツナがかっこつけてんじゃねぇ」



「ぶふっ!!」



「あぅあぅ!綱吉が痛い痛いなのです!」



「あららら。まぁ、蒼唯を口説こうってんなら、雛見沢の村人全員を敵に回す度胸がいるってことで。リボーンくんに蹴り飛ばされたぐらいでへこたれちゃいかんよ」



「ま、蒼唯がドッカーンと元気出たならいいじゃねぇか。さすがツナだよな!」








リボーンに蹴り飛ばされた綱吉を特別心配することはなく、みんなは笑った。
武はボクの頭を優しく撫でてくれた。

みんながいる。
だからボクは戦える。
みんなを信じてる。
だからボクは戦うことを恐れない。
たとえ不利な状況になろうとも、ボクは挫けたりするものか。








「あ、車が入って来たんだもんね!」



「なんだか随分物騒な雰囲気のする車ですわね。敵にしては、普通に入って来ましてよ」



「どれどれ?」








監視もにたぁの前にはランボを抱えた沙都子と梨花が座っている。
ランボと沙都子の報告に魅音や他のみんなももにたぁを覗き込んだ。あの黒い車は、葛西の車では?

その時、ボクは風向きが変わったような気がした。















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