雛見沢決戦編
□玖
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◇和解◇
解かれた誤解が生むもの
古手神社の境内では慌ただしくも綿流しの祭の準備がはじまった。
明日は、いろんな意味で祭になる。
鷹野がボクを狙っているから注意するように、とは言われたものの、ボクは梨花とは違う。真っ昼間から山狗が動くようなことはないだろう。
綱吉達も梨花の護衛のためと園崎家にいてくれている。村の中を大人数で動けば悪目立ちをしてしまう。今は一人の方が都合がいい。
「1人であって、“独り”ではないことを忘れないで」
「うん、ありがとう」
ボクの傍には朱唯がいる。
雛見沢というこの土地に仲間が、みんながいてくれる。
ボクはそれだけで戦える。
まずは恭弥を探さないといけない。
誰か一人でも欠けてしまったら、運命は、世界は変わらない気がする。
雛見沢の中はだいぶ見て回ったが見つからない。となると、興宮の方だろうか。
「………ダム戦争はもう終わったんよ。村の子が風邪引いたら、心配するのが年寄りの仕事だっちゅうだけやんね」
見ればお魎が入江と話していた。
ダム戦争は終わった。
過去の出来事は過去のこととして、忘れるのではなく、抱えていけばいい。
許しましょう。
過ちを認め変わろうとするあなた達を。
これから償いをしようとするあなた達を。
ボクは、許します。受け入れます。
「沙都子や悟史にも、安心して笑える未来がこの世界ではきっと来るわ」
「そうだね。みんなが笑っていられる未来を、ボクらが切り開くんだ。絶対に負けたりしない」
ボクらは古手神社を後にした。
誰もが笑っている、誰もが悲しまない世界を作り出したい。
この世界を、みんなが変わろうとする世界を、ボクは守りたい。
だから、今は止まらないで歩き続ける。
進み続けるから。
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