雛見沢決戦編


□漆
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◇互助◇
仲間を頼ること















頼らなかったこと。
求めなかったことを、許してください―――――









薄暗くなった空を見上げると、深い胸の内から彼女≠フ“声”が聞こえた。
何を頼らなかったのですか?
何を、求めなかったのですか?

貴女は、何を許して欲しいのですか?



梨花は沙都子に話すことを、どう説明すればいいのかと思い詰めていた。

沙都子が信じてくれることを梨花は信じていない。今の梨花は臆病になっている。
まるで前の世界までの羽入のように。








「ボクは本宅の方へ戻るよ」



「え!?」



「梨花、信じなければ奇跡は起こらない。
仲間を信じない、親友を信じない今の梨花に………、奇跡は起こせない」








梨花は苦虫を噛み潰したような表情でボクを睨んだ。
ボクに言葉にして言われなくて、梨花自身よくわかっているはずなんだ。








「梨花、沙都子は梨花のこと信じてるよ」








ボクは梨花と赤坂に背を向け、本宅の方へ歩き出した。
羽入が梨花を諭してくれるだろう。
梨花は沙都子に全て話すだろう。

きっと、大丈夫。
ボクは梨花を信じてる。








「蒼唯」








足を止めて振り返れば綱吉達がいる。
頼もしい仲間の姿に、ボクはただ微笑みを浮かべる。



ボクは彼等を頼りました。
ボクは、彼等に求めました。
それはボクが弱くて無力だったからです。
1人では戦うことの出来ない臆病者だからです。








「梨花ちゃんは、話すよ。きっと」



「……………そうだね。沙都子も。いや、沙都子だけじゃない。魅音や圭一、レナも必ず信じてくれる」



「きっと力になってくれる」



「私も、力になる………」








ボクは彼等を頼りました。
ボクは、彼等に求めました。

1人では戦うことが出来ないからです。
敵に立ち向かうことが出来ないからです。



互いに信頼し、助け合うことが『仲間』だと知ったからです。








「ありがとう」








貴女が許しを望むなら、ボクは貴女を許します。

ボクも頼らなかったことがあった。
ボクも、求めなかったことがあった。
それらを後悔したことがあったのです。



仲間を頼ることを躊躇った世界が、いくつも存在したのですから。















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