雛見沢決戦編
□陸
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◇味方◇
強い意思に集まった大人
古手神社に戻ったボク等は、境内にて富竹のことを待っていた。
沙都子は、了平やランボと共に別宅の方にいるから話を聞かれる心配はいらない。
それにしても、漫画の設定話ということもあって盛り上がってたな。
真実を打ち明けても、きっと大丈夫。
そんな確信がボクの中にはあった。
「大丈夫だよ、きっと」
「……………ありがとう綱吉」
同じことを考えていたのか、綱吉も感じた確信がボクを安心させた。
しばらくすると、富竹がやって来た。
その隣には、白衣ではない入江も一緒だ。呼び出したのは富竹だけなのに……………
隣を見ると、梨花も不思議そうな顔をしている。
梨花は朝、入江から『緊急まにゅある』という自分の死後48時間で村人全員が抹殺される話を聞かされたという。
直球に鷹野が自分を殺す理由も尋ねた。
おそらくそれが入江の用件だろう。
自分だけで判断することが出来ないので、富竹にも話を聞いてもらいたいという様子だった。
「蒼唯ちゃんも人が悪いな………、写真を口実に僕を呼び出すなんて」
「ボクは悪いことをしたと思ってないよ」
富竹は苦笑を浮かべる。
ボクもそっと石段に腰を下ろした。
「入江所長に聞いたよ。………どうして君は鷹野さんを疑っているんだい?だって、そんなことをしたら、大変なことになるのを一番よく知っているのが鷹野さんじゃないか」
富竹は鷹野に好意を持ってる。
鷹野を庇おうとするのは当然とも言える。
それでも、梨花はきっぱり言い返した。
「正常な鷹野なら、ぼくを殺すようなことは絶対にないと思いますですが、………今の鷹野は絶対にぼくを殺さないという保証はありますですか?」
「そ、それはどういう意味だい………?」
雛見沢症候群の研究に生涯をかける鷹野。
富竹もそれを認めた。
彼女が研究の中心にいること、彼女の祖父が病気を見つけたことも教えてくれた。
祖父の研究を受け継いだ鷹野。
それが3年後に打ち切られてしまう。
富竹は梨花の言うことが的外れでないことがわかったようだ。
ありえないと連呼しながらも、それでも完全に否定できない。恐ろしい想像を否定しようと、何度もそれを口にしてしまう。
実際のところ、敵が鷹野だとわかっていても、どうして梨花を殺そうと企むのかは、ボクらにとって想像する以上のことは何も出来ない。
「………確かに、少々恐ろしい想像ではあるけれど、それでも鷹野さんがそんなことをして得をすることはないよ」
「傷心の人は、誑かされやすい」
「たぶらかされる、とは………、どういう意味だい」
梨花が『緊急まにゅある』の話を出せば、富竹は何とも下手くそな誤魔化し方で惚けようとした。
しかし、入江が梨花にその話をしてくれたのだから富竹も隠す必要がない。
「富竹さん………、単刀直入に言います。その緊急マニュアルで得をする人間がいるはずなんです」
「まさか!いるはずがないよ………!!それどころか、責任問題やら何やらに発展し、場合によっては『東京』だけでなく、政府内の問題にも発展しかねない…!!」
「つーことは、その騒ぎで得をする連中がいるんじゃねぇのか」
綱吉達の言葉に富竹は考え込んでしまう。
この辺りは全て魅音の受け売り。
さすがは我が部の誇れる最高の指揮官であり、参謀だ。
富竹はいつしか腕組みをして、落ち着きがなくなりはじめていた。
ボク達の話が、ただの世迷言の域を出ていると気付きはじめたようだった。
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