雛見沢決戦編


□伍
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◇対策◇
立ち向かうために















鷹野が黒幕であることを告げた翌日。
梨花の表情は優れなかった。

どう立ち向かうべきであるのか。
そもそも、立ち向かうことが出来るのか。
不安でいっぱいなのであろう。



こんな時こそ、しっかりしなくては。
昨晩流した涙で、ボクの不安は晴れた。

ボクはもう大丈夫。
だから、梨花をしっかり支えるよ。








「梨花ちゃん………、大丈夫かな」



「大丈夫だよ。梨花には『オヤシロさま』がついていてくれるから」








元気のない梨花を見送り、綱吉は昨日とは違う雰囲気に気付いた。

梨花は一人じゃない。
ボクも一人じゃない。
だから頑張れる、戦えるんだ。



ボク達は、ボク達に出来ることをしよう。








「さて、ボク達も行こうか」



「ん?どこへだ?」








綱吉達には土地勘がない。
これから何が起きるかはわからないけど、少しでも雛見沢を知っておいた方が、有利だと思う。

行き先は特にはない。
だけど、全ては必然的に起きる。








「梨花は、自分が死んでしまった後にどういうことが起きるのか知らない。女王感染者である梨花が死ぬと、村の住人は全員、抹殺されてしまう」



「昨日言っていたな!」



「梨花が死んで、鷹野がどんな特をするのか。その答えが鷹野に勝つための手掛かりになると思う」








鷹野は雛見沢症候群研究のため、『東京』という組織からやってきた研究者。
女王感染者に死なれては、一番困る人物のはずだ。雛見沢の住人も彼女にとっては、大切な研究対象。なのになんで?








「どんな特をするのか、か」



「むしろ、責任を取るために損をしそうな気がするがな」



「……………案外、損得だけの話じゃねぇのかもな」



「どういうことだよ?」








損得だけの話じゃないって………?
リボーンに言葉の意味を聞こうと思ったのに、ボクの名前を呼ぶ声に遮られた。

前から歩いて来たのは、喜一郎とお魎。
綿流しの祭の打ち合わせに行くところ、といった感じだろうか。








「おんやぁ、蒼唯ちゃまじゃねぇか」



「おぉ、雛見沢に帰って来とったんだ」



「もうすぐ綿流しだから、ね」








戦うために帰って来たなんて。
雛見沢連続怪死事件の黒幕は全て、鷹野と山狗だった。

喜一郎は何も知らず、お魎は園崎の威厳を保ってきたに過ぎない。
祟りと恐れられた事件は御三家とは無縁、無関係の出来事だったのだ。








「……………そこにおる余所者たちゃあ、蒼唯ちゃまの知り合いかいね」



「んだババア、果たすぞ!!!?」



「獄寺君、落ち着いて!」








食って掛かる隼人を、綱吉が慌てて止めに入った。武や了平も加わり、賑やかな声が辺りに響き渡る。

お魎のいつも鋭い視線が細められ、和らいだようにボクには見えた。








「今年の祭は、騒がしくなりそうだんね」



「……………そうだね」








お魎はお魎なりに、この世界で変わろうとしているのかもしれない。



お魎はボク等に背を向けると、笑い飛ばしながらさっさと神社の方へ歩いて行った。
喜一郎も笑って会釈すると、お魎の背中を追いかけて行く。

いつも見守ってくれていた大人の背中は、まるで先陣を斬るように前を進む。
ボクはそんな背中を見送った。















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