雛見沢決戦編
□弍
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綱吉が目を開けると、そこは侑子の店ではなかった。
目の前にあるのは小さなプレハブ校舎。
周りには誰もいない。
ここは一体どこなのだろうか?
悩み、迷った綱吉は、そのプレハブ校舎に足を踏み入れた。
小さな見かけ通りの建物の中は、どうやら学校のようだった。
賑やかな声の聞こえる方へと歩いていき、ひとつの教室の前にたどり着いた。
「(誰か、いるのかなぁ………?)」
綱吉は教室のドアを開けた。
中にいたのは、自分と同じ年くらいの少女達と少年だった。
「ん、誰だ?」
「見たことない男の子だね。新しい転校生なのかな、かな?」
「オジサン、そんな話聞いてないなぁ〜」
「手っ取り早く、本人をとっちめてしまえば宜しいんじゃあそばせ」
金髪の少女の最後の言葉には思わず後退りしてしまう。
どうしたものかと辺りを見回すと、少女達の中に先日見たことのある顔があった。
少女も、綱吉に気付いたようだった。
「……………『綱吉』なのですか?」
「えっあ、は、はい………!!」
少女は自分のことを知ってくれていた。
何故か、それが嬉しい。
「なんだ、梨花ちゃんの知り合いか?」
「ぼくだけが知っているわけでは、ないのですよ。みぃ〜」
少女、梨花は席から立ち上がると、そっと綱吉の前に立つ。
蒼唯と大して変わらない身長。
「一人、なのですか?蒼唯は?」
「なんだか手違いみたいな感じで………、みんなバラバラになっちゃって。あの、それで、もしかしてここって」
「雛見沢なのですよ、雛見沢村なのです。
……………蒼唯はきっと大丈夫ですから、綱吉の仲間を探しましょう。話は、その後なのです」
梨花は後ろで机のまわりを囲んでいる少女達と少年に向き合った。
「魅ぃ、急用が出来ましたので今日はこれにて帰りますのです」
「何か厄介事みたいだねぇ」
「なら、俺達も手伝うぜ!」
「梨花がいませんと、昨日のリベンジにはなりませんのよ」
「蒼唯も関わってそうだし、みんなでやれば早く終わるよ」
梨花は少し考えると、微笑みを浮かべた。
「では、お願いしますのですよ」
仲間の信頼。
綱吉はそれを目の当たりにした気がした。
簡単な説明をした後、少女達と少年は意気揚々としていた。
知りも知らない人間に力を貸してくれることが、綱吉は何より嬉しかった。
「よっしゃ、探しに行こうぜ!」
「オジサンは知り合いなんかに声をかけて回ってみるよ」
「私は興宮の方を見に行ってみますわ」
「大丈夫だよ、きっと」
教室にひとりで残された綱吉がどうするか考えていると、制服の裾をちょいちょいと引っ張る梨花が隣にいた。
「綱吉は、ぼくと一緒に探しましょうなのです」
「あ、ありがと」
「にぱ〜☆」
梨花の笑顔に、綱吉も表情を和らげた。
どことなく蒼唯に似ている。
笑顔も、雰囲気も、似ている……………
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