雛見沢決戦編
□弍
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◇帰郷◇
帰って来た居場所
雛見沢に帰ることを打ち明けた。
みんなは力を貸してくれる。
打ち明けてしまえば、これ以上に心強いことはない。
「なら、送ってあげるわ」
「「「「「「!!!?」」」」」」
「侑子………、君尋……………」
振り向けば、昨日の着物姿とは違うラフな恰好をした侑子と君尋がいた。
「送ってあげる」とは、ボク達を雛見沢に送ってくれるということだろうか?
「約束したんでしょ?親友と、仲間達と」
「侑子………」
「明朝、店にいらっしゃい。雛見沢村まで送ってあげる」
夕陽に向かっていく侑子の後ろ姿が、何故だか懐かしく思った。
「侑子さん、蒼唯ちゃんのこと本当に心配してるよ。あんな侑子さんを………、俺は初めて見た」
「あの魔女も大概貴女に甘いわ」
そう、なのかな………?
侑子を追いかける君尋の背中を、ボクは見送る。綱吉達の方を見れば、彼等は力強く頷いてくれた。
翌朝―――――
ボクは綱吉達と待ち合わせて侑子の店へと向かう。
「なんで僕まで」
「私………、どうすれば……………」
「ランボさ〜ん、まだ眠いじょ」
リボーンが恭弥や凪、ランボにも声をかけてくれた。ランボも巻き込んでしまうことになるなんて、思ってなかった。
やはり、話すべきじゃなかったのかな。
不安が募って俯いた時、隼人がそっと肩に手を置いてくれた。
ひとりじゃないんだ。
大丈夫………、大丈夫だよね。
店に入ればマルとモロが出迎えてくれた。
そして、店の奥へと案内してくれる。
「来たわね」
広い部屋の中には、大きな何かの陣。
その中心にはあるのはひとつの水晶玉。
侑子と君尋は部屋の隅にいた。
侑子の足元には黒ウサギ、モコナ・モドキもいた。
「準備は出来てるわ。それじゃあ、対価をいただきましょうか」
「……………は………?」
「……………え?」
「…………………………結局、侑子さんは侑子さんなんですね」
綱吉達が呆然となっているが、ボクは拳を握り締めた。
何をするためには、必ず対価がいる。
侑子はそれを教えてくれた。
朱唯も、そうしてボクを守ってくれた。
「何を対価にすればいいの」
「……………水晶玉を手に取って、それにアナタの『覚悟』を込めなさい。他の子達は陣のそれぞれの位置に」
『覚悟』………?
手渡された水晶玉を手に、考える。
同じことを、以前彼≠ノ訪ねられた。
綱吉達がそれぞれの位置というものに立てば、水晶玉の中に白い光が灯った。
「っ!!もっと灯して!!弾けるわ!!!!」
ボクの、『覚悟』……………
みんなに、仲間に笑っていてほしい!!
大切なヒトを裏切りたくない!!
水晶玉がきらびやかに光。
と、綱吉達の指に嵌められた指輪や、首にかけられた指輪も光を放った。
「モコナ・モドキもドッキドキ!!
はぁ〜、ぷぅ〜」
モコナの口が大きく開き、ボク達はその中へと勢いよく吸い込まれてしまう。
「ぱくっ!」なんて、かわいらしい効果音を最後に聞き、目の前が真っ白になってしまった。
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