罪滅しの物語


□弍拾漆
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◇終焉◇
ひとつの世界のおわり















綱吉が目を醒ますと、飛び込んで来たのは知らない白い天井だった。

知らない天井、横たわっているベッドも、自分のベッドとは違う感覚がする。
暫くして、自分が病院にいることを理解した。



自分の手には、蒼唯から預かったトランプが握られている。








「ツナ、起きたのな!大丈夫か?」



「山本……………」








ベッドの近くにいた山本が、綱吉が起きたことに気付いた。

病室には山本の他に獄寺、了平。
部屋の隅には傷の残る雲雀までもがいた。
綱吉は軋む体を動かし起き上がる。








「10代目!!御加減はいかがですか!!!?」



「だ、大丈夫だよ」



「うむ、極限に無事で良かったぞ!!」



「黙れ芝生頭!!10代目のお体に障るだろうが!!!!」








いつも通りの口喧嘩が始まる。

山本は仲裁のため、間に割って入る。
了平も、獄寺や山本の怪我も、大したことはないようだった。








「(なんだか、このやり取り久しぶりな気がするなぁ………)」








いつも通りのことが、幸せに感じた。
慌ただしい日々が日常的なものになり、それが平和に感じられるものになっていた。

病室の隅では、雲雀が今にも怒り出しそうにその様子を眺めている。








「君達といつまでも群れるつもりはない。蒼唯はどこ行ったの?教えなよ」








雲雀の質問に口喧嘩していた獄寺、了平も黙り込んだ。最後に蒼唯と話したのは自分だけなのだった。
綱吉は一度、手の中のトランプを握りしめた。








「え、えっと………、蒼唯は雛見沢に帰るって言って………!!」



「帰るって、どういうこと」



「……………仲間が、危険な目に遭ってるって。帰らなければならないって………、あれ?何言ってるんだろ」








別れ際に何か言っていた蒼唯の悲しそうな顔を思い出す。

何か、何か忘れている。
彼女はどうして帰ったのだったっけ?








「里帰りとは、極限にいいことだぞ!」



「きっとすぐに帰って来るッスよ」



「次帰る時には俺達も連れてって欲しいのな!雲雀も一緒に行こうぜ!」



「僕は君達と群れないよ」










「さようなら……………
この世界でボクを知るヒト」











綱吉は蒼唯の言葉が気がかりだった。
蒼唯はなんであんなことを………?
蒼唯はどうして―――――



獄寺達が再び乱闘を始めようとする中、綱吉だけは預かったトランプを見つめる。

その時、窓からリボーンが入って来た。
らしくなく慌てた様子で、表情はいつにもなく真剣だった。








「テレビ、つけてみろ……………」








いつもと違うリボーンの様子に、何か嫌な予感を感じながら、綱吉は病室に備え付けのテレビの電源を入れた。















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