罪滅しの物語


□弍拾肆
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傷だらけでやって来た雲雀と獄寺。
支えていた獄寺の体を放り出し、綱吉の傍に投げたトンファーを拾い上げ構える。

一度、骸に負けていることが気に入らない雲雀は傷だらけの体で骸へ挑む。
両者一歩も譲らない戦い。








「君が何を知ってるか知らないし、興味もないけど。あの子を泣かせる奴は………、咬み殺す」



「何も知らない君と話しても、時間のムダです。手っ取り早くすませましょう」








桜の幻覚を使う骸。
しかし、雲雀は既にサクラクラ病の治療を終えていた。

予想外のことに攻撃をまともに食らった骸の体が床へと倒れた。








「ついにやったな」



「お、終わったんだ………、これで家に帰れるんだ!」








綱吉が喜んでいる中、羽入は無表情にその様子を見ていた。

本当にこれで終わりなのだろうか?
こんなに呆気なく終わるのだろうか?
世界は何も変わってはいない、運命は何も変わっていないのだ。



雲雀が倒れ、ふらつく獄寺や、倒れているビアンキ、フゥ太の心配をする綱吉。
医療班が向かっていることを聞くと、安心したように肩の力を抜いた。








「その医療チームは不要ですよ。何故ならば、生存者はいなくなるからです」








倒れていた骸は、手に銃を握りしめ、その銃口を綱吉達へと向けていた。

獄寺は綱吉を守るように前に立つ。
骸は笑って、銃口の向きを自らのこめかみに変え、引き金に指先をかける。








「Arrivederch」








銃声の音とともに骸の体は横たわる。

呆気ない自決に、リボーンや獄寺も表情を歪ませていた。綱吉と羽入はその場に合わない嫌な予感に悩まされる。








「ついに骸を倒したのね」








意識を取り戻したビアンキに安心する綱吉達。しかし、綱吉は違和感を感じる。
ビアンキに近づく獄寺に怒鳴るような制止までかけた。自分でも、どうしてそんなことをしたのかわからない。








「(何言ってんだ俺………)」








考えてもわからない。
手を貸そうとした獄寺に、ビアンキは骸の槍先を向けた。槍先は獄寺の頬を掠める。

ビアンキはいつも愛着しているリボーンにまで槍先を向け、振り下ろした。
ビアンキのはずなのに彼女ではない。
異質な雰囲気を感じ取った綱吉は骸の名前を呟いた。








「………クフフフ、また会えましたね」








ビアンキの声だが、明らかに彼女の口調ではない。顔をあげた彼女の瞳には六≠フ文字が浮かび上がっていた。

その場にいるのは間違いなく、先ほど自決したはずの六道骸だった。








「クフフフ、まだ僕にはやらなければならないことがありましてね。奈落の底から、舞い戻って来ましたよ」








俄に信じられないその状況に、獄寺は必死の表情で魔除けの動作を行なう。
すると、ビアンキの体は苦しみ始め、そのまま倒れて仕舞う。

綱吉は心配してビアンキに近づく。
その時、後ろに立った獄寺に綱吉は違和感を感じた。








「俺、やりましょうか?」



「獄寺く………、っ!!」








違和感が確信に変わる。
獄寺の手に握られた槍先の攻撃をなんとか逃れ、リボーンの隣で腰を抜かした。








「どうなってんの!!!?」



「間違いねぇな。自殺と見せかけて撃ったのは、あの弾だな」








リボーンの表情は真剣だ。
マフィアの禁弾と言われるあの弾≠ネらば、この異質で異常な状況の説明がつく。

羽入は困惑しながらも黙っていた。
その場で傍観者を続けていた。















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