罪滅しの物語


□弍拾参
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◇願望◇
少女の望みを叶える少年















骸と対峙した綱吉達の前に現れたのは森でいなくなったフゥ太だった。

フゥ太の手には鋭利な槍先が握られ、それを近くにいたビアンキに突き刺した。








「フゥ太何やってんだよ!?」








フゥ太は何も言わずに、今度は綱吉に槍先を降り下ろす。フゥ太の目に光はない。








「マインドコントロールされてるみてぇだな」



「そ、そんな!目を覚ませ、フゥ太!!」








綱吉の呼び掛けに反応を示すことはなく、フゥ太は槍先振るう。
骸はその様子を笑って眺めている。

リボーンにディーノが使っていた鞭を渡されるが、フゥ太に向かって攻撃することなど綱吉には出来ない。








「クフフフフ。さぁどうします?ボンゴレ10代目」



「(そうだ!)」








綱吉は鞭を手に骸に向かって行く。








「(直接、骸を狙えば!!)」



「ほう……………」








綱吉は鞭を握りしめながら、骸に向かって力いっぱいに振るった。
しかし、鞭は的外れな攻撃を繰り出した。
鞭は綱吉の足にまとわりつき、綱吉はそのまま横転する。








「あいた〜!」



「クハハハハ、君にはいつも驚かされる。ほらほら、後ろ………、危ないですよ」








骸に言われ振り返えれば、そこには自分と同じように鞭に絡まったフゥ太がいた。

鞭に絡まり、自由に動けない状態でも、手から離れた武器を取り戻そうともがいている。








「やめろフゥ太!」








綱吉は槍先を少しでも遠くに弾こうとするが、フゥ太を手を伸ばすことを止めない。
その目はランチアと同じ、苦しく辛い表情の目だ。








「(フゥ太も骸に操られて、酷いことさせられて。罪の意識を感じて……………
それで………!!)」








考えていた綱吉へと槍先を再び手に取ったフゥ太が、襲いかかる。
生気のない目が、光のない目が。
こんなことを望んでいないと、心が訴えている。








「(フゥ太………!!)」








槍先が降り下ろされそうになったその時。









「お前は悪くないぞ」



「!」



「!!」







フゥ太は動きを止め、光のない目で綱吉と向き合っていた。
骸は綱吉の言葉に驚く。








「全然お前は悪くないんだ。みんなフゥ太の味方だぞ。安心して帰って来いよ」








綱吉は許した。
綱吉は受け入れた。

羽入は、小さく微笑んだ。















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