罪滅しの物語
□弍拾弍
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非常用の梯子を上り、2階のボーリング場からまた階段を探し始める。
「ツナ、蒼唯って娘はどんな娘なの?」
「え?ど、どんな娘って………」
ビアンキのいきなりの質問に綱吉は何故か慌てはじめる。リボーンはそんな様子を、面白そうに眺めていた。
「蒼唯は…、普通の女の子だよ。いろんな表情をして。楽しそうに笑っている時が、一番蒼唯らしくっていうか。俺にとって、大切な……………」
「そう。ツナ、その娘が好きなのね」
「/////!!!!そ、そんなんじゃないよ!!」
『(あぅあぅあぅ、蒼唯はみんなに好かれるのですよ!あぅあぅ♪)』
顔を真っ赤にして否定する綱吉。
羽入は蒼唯が大切に想われていることが、とても嬉しかった。
「お、俺はただ………、蒼唯が悲しそうな顔をするのが嫌なんだ。蒼唯には笑ってて欲しいんだよ」
「なら、その娘のこと守ってあげなさい。男は女を大切にするものよ」
「わかってるよ」
ビアンキは綱吉のその言葉に、満足そうに微笑んだ。
3階へ上がる階段を見つけ、映画館の面影のある3階を捜索する。
ドアを開け、部屋の中を覗き込めば、そこにはヒトがいた。
「また逢えて嬉しいですよ」
「あぁ!!君は!!」
そこにいたのは、綱吉が森の中で出逢った黒曜生の少年。
どうしてココにいるのか、不思議に思いながら綱吉はリボーン達に説明するが、それは少年の言葉に遮られる。
「ゆっくりしていってください。君とは、永い付き合いになる。ボンゴレ10代目」
「え?なんで俺がボンゴレって………?」
「違うわツナ!コイツ………!!」
少年は1人楽しそうに笑っている。
そんな彼に羽入は悔しく思う。
「そう、僕が本物の六道骸です」
「な………、はぁ!!!?」
綱吉は驚きを隠せなかった。
彼がランチアを苦しめた元凶で、蒼唯をここへ連れてきた?
羽入が辺りを見回す。
『骸!!蒼唯はどこなのですか!!!?』
「クフフフ、蒼唯は眠っていますよ」
骸はそちらを指差す。
骸がいる舞台の隅にもうひとつソファーがあり、蒼唯はその上に力なく寄りかかっている。
「蒼唯!!」
「呼んでも起きませんよ」
背後でドアの閉まる音がした。
そこに立っていたのは、生気のない瞳をしたフゥ太だった。
骸は笑う。
また、蒼唯の閉じられた瞳から一筋の涙が零れ落ちていく。
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