罪滅しの物語


□弍拾壱
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骸はその様子を窓から見下ろしていた。
その隣には千種という少年。








「おやおや、何か余計なことを喋られては困りますね」



「……………俺が行きます」








千種は部屋を出ていく。

骸はその背中を見送ると、ソファーの上に横たわる蒼唯の頭をそっと撫でた。








「貴女は、僕の傍にいてください」








蒼唯はまだ意識を戻さない。

骸はその体を抱き上げると、建物の上へと上がる。映画館の面影を持つその部屋に、ソファーがひとつ置かれている。骸はそのソファーに蒼唯を座らせた。








「僕は貴女に笑っていて欲しい」








骸の言葉を聞いていてか、無意識なのか。
蒼唯の閉じられた瞳から、一筋の涙が溢れ落ちていった。








「何故、貴女は泣くのでしょうね?」








その涙を拭い、骸も悲しそうな表情をしていた。脳裏に浮かび上がるのは、日だまりのような笑顔を浮かべる少女の姿。



ずっと探し求めていた。
また逢えることを想っていた。
しかし、彼女は別の人間達と笑っていた。

それが何故か悲しくて、それでも再び廻り逢えたことに喜ぶを感じた。
幾多の世界を廻る彼女が自分を覚えていなくとも、構わなかった。








「廻ることに疲れているのですか………?
だから貴女は、あんなこと≠願ったのでしょう?僕は貴女の力になるために強くなりました。これからも強くなります」








骸の呟きが、暗い室内に寂しく響いた。

静かに立ち上がると、オッドアイの瞳が、先ほどから部屋の入口に立っていたフゥ太を捉えた。








「そろそろ、君の出番ですよ。一仕事してもらいましょうか」








骸の笑い声が不気味に響き渡る。
また、蒼唯の瞳から涙が溢れ落ちた。



誰を想って涙を流すのか。
何を想って涙を流すのか。
骸は知らない。

今はもう、彼女の願いが変わっていることを。過去の世界から変わったことを、骸は知らない。















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