罪滅しの物語


□弍拾壱
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◇偽者◇
全てを奪われた者















六道骸≠ゥら決定的なダメージを与えられた綱吉は、傷だらけになりながらも立ち上がった。








「アンタはそんな悪いヒトじゃない」



「!!!!」



「!!!?」








回りの人間も、六道骸≠煖チいた表情を見せた。リボーンだけは何かを確信するような、うっすらとした笑みを浮かべる。








「弱い心では、死ぬ気の俺は倒せない」



『(綱吉………)』










羽入はぐっと堪えるようにして見ていた。
綱吉の言葉に男は表情を変え、自分の弱いことを隠すように怒った。








「心だと!俺のことを、わかったような口をきくな!!」








男は拳を握りしめ、綱吉へ突き進む。
その表情が動揺していることが、彼は本当は優しい人間だという証明なのに。








「殺しは俺の本心だ!!!!」



「嘘だッ!!!!」








綱吉と男が、激しくぶつかり合う。








「黙れ小童!!!!」



「死ぬ気で倒す!!!!」








綱吉の拳が男の体にヒットした。
男は膝から崩れ落ちる。








「この俺が、負けただと………?」



「あなたの心の中に罪悪感…、迷いがあるから」








綱吉の額の炎が消えた。
先ほどまで荒々しい姿と一変し、優しく、何かを悲しむ綱吉が男に語りかける。








「あなたを最初に見た時から、おかしいと思ったんだ」








綱吉は男の本質を見抜いていた。
男は納得したように小さく笑うと、自らの負けを認めた。








「完敗だ。おまえを六道骸が警戒するのも頷ける……………」



「えっ!!!?」








男は六道骸の影武者だった。
男は話始める。

悲しい惨劇の過去を―――――



羽入はただ傍で見ていた。聞いていた。
自分には何も出来ない。
誰にも見えない、聞こえない、話せない。

そっと目を閉じて、男と同じように過去を想った。もう戻ることのない、遡ることのない過去の世界。

その中に彼女の世界があったのは。
また別の物語。















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