罪滅しの物語


□弍拾
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◇刺客◇
戦うことは避けられない















目を覚ましたその場所は薄暗かった。
薄暗くて、とてもじゃないけど気分がいいような場所じゃない。

ボクはどうしてこんな場所に?
ぁ………!!
思い出したボクは慌てて体を起き上げた。








「暴れないで、めんどい」








起き上がると、近くには同じ年くらいの傷だらけ少年がいた。
さっきの顔に傷にある男と違う。
彼も、骸の仲間………?








「……………ここは、どこ?京子とハルに何かしたら許さないから」



「騒がしい、めんどい」








なんなんだ?
この「めんどい」が口癖の男は。








「女2人なら無事だよ」



「いまいち信用がないけど、信じるよ」








誰かを疑うことは、嫌いだから。
それにしても、なんだか変な感じがする。
さっきまで感じていた嫌な予感が大きく、大きく膨れ上がってしまったようだ。








「……………骸はココにはいないの?」



「ボンゴレ10代目を見に行った」








『ボンゴレ10代目』
どこかで聞いた、ずっと知っていたような気もする。

それって、綱吉のことじゃなかったっけ?
嫌な予感の正体はこのことか!








「君達が何を考えているのかは知らない、わからない。だけど、ボクはボクの大切なヒト達を傷付けさせない」



「……………めんどい」








相手は怪我人。
今ならまだ間に合う。止められる。
いつだって手遅れだった、何度も何度も間に合わなくて後悔ばかりしてきたんだ。



武器は地面に落ちていたガラスの破片。
腕を赤い血が滴り落ちる。

痛くないと言えば嘘だ。
でも、後悔なんてしたくない。








「ボクはこの世界を変えてみせる」



「僕は、この世界を壊しますよ」







背後から声がした。
あまりに突然現れた気配に応じることは出来ず、硝子の刃を振りかざした手を掴まれてしまった。

そこには骸が立って、ただ笑っている。
その笑顔に何故か悲しさを感じた。








「幼い貴女はそれを望んだ」



「幼いボクが、望んだ………?」








世界を壊すことを、ボクが望んだ?
それはいつの話?

だって、骸にあったのはつい最近で、この世界が初めてのはずなのに。
どうして貴方が幼いボクを知るのですか?
幼いボクが望んだことを知るのですか?








「骸は、まさか………!?」



「貴女と同じですよ、蒼唯。僕は貴女とは違う輪廻を廻る者。……………少しの間、眠っていてください」








骸の六≠フ瞳が、一≠ノ変わる。
ボクは体の力が抜け、否応なしにその身を骸に預けてしまう。
視界がボヤけて、ボクは意識を手放した。



どうして………
どうしてそんな顔をするの………?

悲しそうに笑った骸の顔が、頭から離れなかった。















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