罪滅しの物語
□拾玖
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◇人質◇
大切なヒトを巻き込みたくない
羽入を追いかけて、綱吉達の場所へと急ぐ途中に、制服の違う男達が武器を手に襲いかかって来る。
正当防衛に対抗しているものの、まともな武器がない。
現在使用しているのはさっき拾った傘。
もう使い物にならない。
『ふらいぱん』やら紐やらいろいろ拾ったものを武器にしたり、水道水やらごみ箱やらあるものを活用したりで逃げて来た。
まだ、羽入の気配は遠い。
急がなければ。
ボクは雛見沢に帰らなければならない。
みんなを助けるために、力になるために。
運命を、惨劇を打ち破るために。
「圭一、頑張って。ボクも頑張るから」
ひたすら、走り続けた。
同じ空の下で同じように戦うヒトがいる。
これほど心強いことはない。
「どうか無事でいてください」
大切なヒトが傷付くことは望まない。
それはこの場所でも、雛見沢でも同じ。
仲間がいる。
自分を受け入れてくれたヒトがいる。
大切だと思うヒト達がいるんだ。
「退きやがれ!!」
立ち止まってなんかいられない。
力に挫けてなんかいられない。
運命に負けてなんかいられない。
そんなことを思う気持ちも、そんなことを考える時間もないんだ!
走り続けなければならなかった。
運命を変えるために……………
「ボクは、戦うんだ………!!」
それが、ボクの決めたことだから。
青い空の下を走り続けた。
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