罪滅しの物語


□拾捌
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綱吉達は、並盛襲撃騒動の犯人の居場所を突き止め出発しようと準備を整えていた。








「(脱獄犯相手に俺達が行って、どうにかなんのかな……………)」








あまり行く気になれない綱吉は、鞄を部屋の隅に置く。本当は行きたくなんかない。
でも自分のせいで、誰かが傷付くのはもう嫌だった。








「(蒼唯は、大丈夫だよな………?)」








ふと頭に思い浮かんだのは、無邪気に笑う蒼唯の姿。早く戦いを終わらせて、彼女の故郷に行ってあげたい。

それが、頑張れる理由かもしれない。



リボーンの言葉に、更にやる気を削がれていると、山本、ビアンキと敵地に乗り込む面々が集まってきた。








「あとは獄寺君だけだね」



「あいつが遅れるなんて珍しいのな」



「とっくに外で待ってるぞ」








リボーンに言われ窓から外を見てみると、確かに家先に獄寺の姿があった。








「(ビアンキのこと警戒して怪しいヒトになってる!!!!)」








門柱に隠れて中を伺おうとしている獄寺の姿を見てツッコミながら、いつもと変わらない姿に安心していた。





殴り込みへ向かう全員が揃った。
綱吉達は敵地へと向かう。

いざ歩き出そうとした、
その時だった。





ペタッ ペタッ ペタッ





「「「っ!!!!」」」








綱吉、獄寺、山本は一斉に振り返った。
そこには誰もいない。

誰もいないはずだ。
しかし、今間違いなく聞こえた。








「どうしたの?」



「今、また………!!」



「足音がひとつ余計にッ!」








ビアンキは首を傾げる。
彼女には聞こえていないようだ。








「オ、『オヤシロさま』………?」








綱吉はポツリと呟いた。
綱吉は図書室で読んだ、雑誌の切り抜きを思い出していた。



雛見沢に奉られる『オヤシロさま』
それは雛見沢を離れた人間の傍に、雛見沢で罪を犯した人間の傍に。
祟りとして、罰として、背後をついて回るという。

足音がひとつ余計に聞こえたならば、それは『オヤシロさま』が背後をついて回っている証。

雑誌にはそのように書かれていた。








「俺達………、た、祟られるようなことしたっけな?」



「ま、ままま、まさかそんな………!!」



「???」








ビアンキはわけがわからないと言った表情で綱吉達を見ていた。



綱吉はもう一度、後ろを振り返る。

誰もいないはずのその場所に、何故か蒼唯に似た気配を感じた。
何故だろうか、彼女はいないはずなのに。















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