罪滅しの物語


□拾捌
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◇予感◇
胸騒ぎが止まらない















蒼唯は走っていた足を止めた。

闇雲に走って逃げ出したためにマンションとは逆方向の場所に来てしまっていた。
呼吸を整え、落ち着こうとする。










『蒼唯、大丈夫なのですか!?』



「はぁ…はぁ………、大丈夫だよ。はぁ…はぁっ、でもね、体の震えが止まらないんだ………!!」








蒼唯は自身の身体を強く抱き抱えて、その場に踞ってしまった。

何かを恐れている。
でも、何を恐れているのかわからない。








『蒼唯………』



「羽入、綱吉達は大丈夫かな」



『わ、わからないのです………。で、でもさっき、商店街の方で蒼唯の学校の生徒が喧嘩してると聞きましたです!』










蒼唯は自身を支え、立ち上がる。








「さっきからずっと嫌な予感がするんだ。
胸騒ぎが止まらない………!」



『ど、どうするつもりなのですか!?』



「雛見沢に帰る。帰らなければならない。だけど、先にこっちを片付けてから!!」








蒼唯はまた走り出した。

背後には数人の男の気配。
その姿は、並盛中学の制服ではない。








『な、なんなのですか!?』



「わからない。……………骸の差し金か。
羽入、綱吉達の所に行って!羽入がいてくれれば、ボクはすぐ合流出来るから!」



『あぅ!!そ、そんなことしたら蒼唯が一人になってしまいますのです!』



「いいから早く行って!!お願い羽入、時間がないんだ!!!!」








羽入は困ったように目に涙を浮かべると、やがて頷いた。
蒼唯は羽入の仕草に笑みを浮かべる。








「泣かないで、笑っていて。大丈夫だよ、すぐに逢えるんだから。後でね、羽入」



『はい………、なのです』










羽入はそっと姿を消した。
蒼唯は足を止め、自分を追って来る者達と向き合った。








「逃げない。逃げたりしない。この空の下で、みんなが戦っているんだから!」








蒼唯は覚悟したように、しっかりとした瞳で彼等を捉えていた。















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