罪滅しの物語


□拾陸
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◇前夜◇
事は同時に起きる















目の前に立っている少年からは、ヒトとは違う何かを感じる。

わかる、彼は普通のヒトではない。








「おや、驚かせてしまったようですね」



「……………あなた、何者なの?」








なんだろう?
怖い?
違う。ボクが怖いのは孤独。

なんだか、苦しい。
それから……………
よくわからない感覚だ。







「安心してください。僕は貴女達に危害を加えるつもりはありませんので」



「悪人は皆そう言う………っ!!!?」








待って、今…何て言った?

・・・
貴女達………?
この人間は、羽入が見えているの!?










『あぅあぅ………、ど、どういうことなのでしょうか?』



「……………ボクにもわからない」








でも、この人間には羽入が見えている。
普通の人間でないことは確かだ。








「クフフフ、そんな怖い目で見ないでください。先ほど言ったでしょう?危害を加えるつもりはないと」



「……………ボクらに何か用?」



「クフフフ、そう焦らせないでください。少しお話ししましょう」








何を考えているのかわからない。

でも鷹野とは違う。
何故か、悲しく苦しい気持ちになる。








「ボクの名前は、蒼唯。あなたは?」



「骸と言います。そちらは?」



「……………羽入」



『あぅあぅあぅあぅ!!』








羽入はボクや梨花以外の人間と話したことはない。雛見沢の人間以外と関わるのは、はじめてだ。








「それで、骸は何の用ですか?」



「気の早いヒトですねぇ」








まいぺーすだと言われるが、ヒトを急かすことはなかった。

今はそれほど焦っている。
何に焦っているのか、どうして焦っているのかは自分でもわからない。








「貴女は、彼女≠ノよく似ている」



「彼女=H」








誰かに、似ている?
そんなことを言われたのは初めてだ。



その彼女≠ニやらは、骸にとって大切なヒトなのだろうか……………








「ボクはボクだ。ヒト違いだよ」



「いえ、貴女は彼女≠ナす」



「……………一体何の根拠があるのさ」








ボクは知らない。
このヒトを……………

でも、ボクは自分の過去を知らないんだ。















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