罪滅しの物語


□拾伍
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身体のあちこちが軋んでいる気がする。
そんな身体を引きずりながら学校へやって来た。
足音の聞こえていた綱吉達は、いつもと変わらないような様子で、少し安心した。
それを確認して、ボクは彼等から離れるようにして自分の席で過ごしていた。

空を見上げれば雛見沢での朝の声≠ェ聞こえていて。
圭一も、学校へ行ったんだろうな。








「蒼唯ちゃん、おはよう!」



「おはよう…、なのです、京子」



「昨日から元気ないけど、大丈夫?」








側に来たのは、京子だった。
京子は変わらずボクに笑顔を向けてくれていた。



そんなに多くの言葉を交わしてはいないのに、京子は鋭いなぁ。
雛見沢を離れて、この街で出来た女の子の友達は京子と花の2人だった。

ヒトに優しく、心配をされることは、慣れてない。
それでも、誰かの笑っている顔を見ていることは好きだ。








「昨日、紹介したい友達がいると言っていたよね?今日の放課後なら時間があるので、良かったら一緒にどこか行きましょうです」



「本当に…?じゃあ、ハルちゃんにも連絡してみるね!どこへ行こうか〜」








女の子って不思議だな。
レナや魅音、詩音も女の子らしい。
沙都子も梨花も女の子らしくなってきた。

女の子だから当然なんだけど、ボクは話についていくことが出来ない。
女の子って、難しい。



それにしても、圭一の落ち込んだ様子の声≠聞きながら、ボクは自分の罪を後悔していて圭一に、何ができるのだろうと考える。








「………京子は隠し事って、どう思いますです?」



「隠し事?」








隠し事、善意の小さな嘘。
それは相手を思ったものであっても、許されないのですか。

自分の全てを明かすことで、潔白を証明し、信頼を得るものなのでしょうか。
ボクは綱吉達にも、自分の全てを明かすことはできずにいて。
天覇家のことに関して言うのなら、雛見沢の仲間達にだって、詳しいことは話せずにいる。








「友達同士の隠し事…、誰にでも隠しておきたい秘密はあるものでしょう。それは全て打ち明け合わなければ、本当に信頼し合える関係と言えないのでしょうか?隠し事は、罪なのでしょうか?」



「うーん………、全部の秘密を打ち明け合うことが、本当の友達なのかな?」








どういうことだろう。
京子は京子なりにボクの言葉を考えくれていて、困ったように笑っている。








「私は友達同士でも隠し事があってもいいと思う。だって友達だもん、いつか話してくれるよ。私はそれまで待ってるよ」



「それで、いいのですか………?」



「全部の秘密を打ち明け合う必要はないんじゃないかな?辛い時に、辛いことを相談するのが本当の友達だと私は思うよ」








……………そっか。
なんだか、安心することが出来た。
ボクは、レナ達の仲間になれないと思ったから。

ボクは自分にもわからないこと、よく知らないことがたくさんある。
それは凄く存在を曖昧にさせていて、信用ならないような危うさを持っていて。

だから昨日のレナが圭一に言ったことが、ボクにも当てはまるのだと思った。
そしたら、少し怖かったんだ。



でも、安心した。
雛見沢の仲間だけじゃない。
みんなと、友達でいられるんだ。








「ありがとう、京子」



「よくわからないけど、蒼唯ちゃんが元気になったなら良かった!」








彼女の笑顔があたたかかくて、優しくて。
ボクも嬉しくて、笑みを返していた。















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