罪滅しの物語
□捌
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それにしても、ボクは今何か『ふぁみりー』と言うものに勧誘されていたけれど。
それは一体何のことだろう?
片仮名言葉は苦手なのです。
綱吉はさっきからずっとわたわたしているし、隼人はなんだか複雑な表情だし、武はへらへらと笑っているし。
むぅ。
ボクはどうするべきなのでしょう。
羽入もきょとんとした様子で、とても頼りにはならなそうだ。
「『ふぁみりー』とは何なのです?さっきも、何だかよくわからない誤解をしていたよね」
「えぇっと、その………!!」
「ツナはマフィアのボンゴレ10代目なんだぞ。獄寺も山本もツナの部下だ。だから蒼唯もその仲間≠ノ入れ」
「ならないから!!」と綱吉は大きな声をあげ、赤ん坊はまた綱吉の顔面に飛び蹴りを喰らわせていた。
『まふぃあ』ってのは、魅音の所の園崎組みたいなものだったっけな。
だから銃弾が飛び交ってきたわけか、納得。
仲間≠ゥ。
『まふぃあ』だとか10代目だのなんだなはあまり気にならなくて、むしろその単語が凄く響いていて。
周りの会話が聞こえなくなるくらいだった。
「あの…、その…!蒼唯、気にしないでいいからね!!(寧ろ忘れてくれ!)リボーンも、蒼唯のこと巻き込もうとするなよ!………って、蒼唯…?」
仲間≠ゥ………
もちろん思い浮かぶのは、雛見沢で共に笑い合いたいと想える仲間達。
もしも。
もしもできるのならば。
「……………ねぇ…、仲間の仲間≠ヘ、仲間?」
「へ…?」
「何言ってんだてめぇ」
自分でも何を言ってるのだか。
何だか早口言葉みたいなこと言ってしまった。
でも、これはとても大切な確認だ。
言葉はおかしくても、その意味は重要である。
ボクは一呼吸整え、彼等と真っ直ぐに向き合う。
「仲間ってさ、困ってたら助け合うでしょう?その仲間の大切な人達のために、仲間の仲間≠、まったくの他人を助け合うことって出来る?」
仲間同士ではない繋がり、当人同士は他人に近い。
ただ一人の共通の仲間を通して、助け合うことが出来ますか?
『蒼唯…、それはあまりに無茶な話なのですよ。例え縁が出来たとしても、その繋がりに信頼や友情があるはずないのですよ』
羽入が悲しそうにボクを見ていた。
ボクの些細で突発な、思い付きのような繋がり方を、やんわりとした言い方で諭すのだ。
そんなことはできないと。
期待するだけ無駄であると。
強く否定するような言い方ではないが、羽入の瞳の奥がそうボクに訴え掛けてくる。
そう、だよね。
仲間同士であっても、強い信頼を築くためには時間や関わり合いが必要になる。
それもなしに出逢ったこともない人間の助けなんて、できないよね。
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