罪滅しの物語


□捌
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無抵抗のままなんて部活の会則に違反してしまいそうだし、納得がいかない。

腰の辺りに巻いているぽーちから、お気に入りのひとつを取り出した。
都会の学校でなんて使うことはないと思っていたけれど、念には念を入れておくものだ。

思わず意地の悪い笑みを浮かべてしまう。 








「その程度の代物なら、ボクも持っているさ」



「んなっ!?えぇー!!!!」








この間の授業中に行われた部活は、こんな感じで臨場感があって楽しかったんだろうなぁ。

圭一とレナの一騎討ちは、ボクも目の前で見たかった。








「…ってことは、まさかテメェ!!!!10代目の御命を狙っていやがったんだな!!!?」



「またそういう話!!!?」



「ハハハッ、蒼唯も参加してたのな!」








一体何の話だろ?
悪ふざけが過ぎただろうかと思っていたら、赤ん坊は遠慮無しにこちらに発砲してきた。

発射された実弾に当たったら、きっと痛いだろうなぁ。
………痛いのは嫌いだ。
実弾の軌道を避け、死角へと入る。





ピューッ





「被弾の定義は、水鉄砲を経由しての水に当たった場合。文句無しに被弾だね」



「「「み、水鉄砲!!!?」」」








レナは沙都子に予備の水鉄砲を壊されて、咄嗟に蓋を開けた水鉄砲を投げ被弾させたという。
恐るべし頭の回転。
最後まで諦めない意志と言うのは強いものだ。

水鉄砲の水を羽入の方へと向けながら、何か唖然としている様子の綱吉達へと目を向ける。








「……………3人は何を放心しているの?」



「いや、その………、あは、あはははは!!(そうだよな!蒼唯がマフィア関係なわけがないよな!!)」



「(今の動き、只の一般人とは思えねぇ)」








赤ん坊はじっと黙ったまま動かない。
服濡らしたこと怒ってるのかな?

しばらくすると、顔を上げてくれる。
怒ってはいない様子で何だか企むような笑みを向けてくれていた。








「面白いな、気に入ったぞ。天覇蒼唯、今日からツナのファミリーに入れ」



「な!!!?」








赤ん坊の言葉に綱吉の表情が凍り付いたように思えた。
先程から見ていても、どうやら綱吉はこの赤ん坊に対して立場が弱いらしい。

そんなところは羽入と真反対で、どちらかと言うと、あぅあぅしている羽入とあわあわしている綱吉の様子がそっくりだった。















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