罪滅しの物語


□参
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しばらく空を見上げていると、ふんわりと風が吹き抜けて、背後でぺたりと足音がした。
振り返れば、半透明な、自分よりも少し小柄な巫女服のような服装を纏った少女の姿。

見慣れたと言うか、いつも、いつの間に側にいてくれる羽入の姿があった。








『……………蒼唯………、蒼唯の側には、僕がいますのです!僕がいますのですよ!だ、だから!!ひ、ひとりぼっちだなんて…、悲しいことを言わないで欲しいのです!あぅ、あぅあぅ………』



「ありがとう…、羽入」








ボクの先程の呟きが聴こえてしまったようで、羽入はとても悲しそうな顔をしていた。

そうだね、ボクの側には羽入がいてくれた。
いつでも羽入が傍にいてくれたね。
ひとりぼっちではない、それがわかって、ボクは少し肩の力を抜くことにした。
雛見沢を離れてから、気を張り過ぎていたように思う。





なんだか帰る気分にはなれなくて、窓際の適当な席に座り、机の上にトランプを並べて、新しい魔法についてを考えて始める。

窓の外、空の色が橙色に変わり出す。
そろそろ帰らなければと思いはじめたのに、なんだかふわふわした気持ちになって。
いつの間にか机に突っ伏してしまった。



何度か羽入の声が聞こえた気がしたけど、眠気に勝てず、返事を返せなかった。
















1人の女の子がいた。
かわいいものが好きで、どこにでもいる普通の、優しい女の子だった。

女の子はお母さんのことが大好きだった。
でも、お母さんは女の子お父さんじゃない別の男の人と仲良くなってしまった。

女の子はそれを知った時、お母さんを嫌いになった。



女の子は全てを捨てることにした。











「私のこと、気安く『礼奈』って呼ばないでください。……………さようなら」










女の子は、お母さんを否定した。
女の子にとって、お母さんは自分の幸せを壊す『敵』に変わってしまったから。

だから、嫌なものを捨てた。
全ての煩わしい“い”やなモノを捨てた。



女の子は大きくなって、仲間と楽しい毎日を送っていた。











「はぅ〜、かぁいいよ。お持っち帰り〜」



「コラコラ」



「あはははっ」











楽しい毎日、笑顔でいられる日常。
それはとても幸せなもので、それが当たり前なものではなく、かけがえのない大切なものだと感じながら。

自分のことを偽りながら。
過去の嫌なものを全て無かったことにして。
努力をしながら毎日を過ごしていた。



そこに現れたのは、自分の幸せを壊そうとする。
新しい『敵』

女の子は、自らの幸せとお父さんを守る為に、“ひとりで”戦うことを決めた。

過去の失敗を繰り返さない為に。
















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