罪滅しの物語


□弍
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クラスの前まで無事に(?)、恐怖の風紀委員長に出会すことなく辿り着いて。

教室の扉を開けた山本は、何か面食らったような表情のままで仁王立ちしている。
あの小さな家庭教師やそいつの持ってくるトラブルにも明るい笑みを浮かべて対処している山本らしかねる様子だった。








「山本?どうかしたの??」



「まさか幽霊でも居やがったのか!?」








いつまで教室に入らず、扉の前に立ち続けている山本に、2人は声をかける。

獄寺がダイナマイトを構える様子に、山本はようやく反応を示した。








「いや………、幽霊とかじゃなくてよ」








苦笑いのような、珍しくも困ったような表情を浮かべながら山本は教室の中のそれ≠指差す。
綱吉と獄寺は首を傾げ、開いた扉から教室を覗き込んだ。





いつもと変わらない教室の風景。
夕日の沈む空が見える窓際の後ろの席。
白いカーテンが静かにゆっくりと風に揺れている。
そこで黒髪の少女が机に突っ伏し、気持ち良さそうにスヤスヤと眠っている。

下校時間を過ぎているにも関わらず。
唖然としながらも綱吉たちは、とりあえず教室の中へ入った。



ゆっくりと近付いてみるが、少女は起きる気配がなく熟睡している。

見慣れない制服を着ていた。
今まで教室て見たこともない少女だった。
白い肌の整った顔立ち、閉じられた瞼に長い睫毛。
結い上げられた黒髪は青色の髪紐でまとめられ、風に揺れている。
身長が低いのか、足が床に届いていない。









「誰、なんだろ…?」



「他校の奴、にしては堂々と居眠りしてんのな!」



「脅かしやがって…」








机の上や机の下には、変わったデザインのトランプが散らばっている。
おそらく少女の持ち物だろう。

それにしてもよく寝ている。
起こしてしまうのを忍びなく感じるほどに。
しかしながら、いつまでも寝かせて、このまま放っておくわけにもいかない。








「とりあえず………、起こすか!」



「そ、そうだね………」



「けっ、おいっコラ!!起きやがれ!」








獄寺が少し乱暴に少女の肩を揺する。
か細い肩幅、華奢な体は大きく揺れ動かされた。

暫くして少女は、ゆっくりと目を醒ます。
その瞳が見開かれ3人の姿を捉えた。



少女の瞳は綺麗な、蒼い瞳だった。
ビー玉のように、不思議な光を反射しながら、瞳の中に自分たちの姿が映り込むのを3人は感じた。















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