皆殺しの物語


□参拾
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◇終章◇
次の世界へ















今まで自分のいた【世界】を眺めて、胸がぎゅっと締め付けられた。
暗闇の世界で光るその一欠片が、本当に、本当にかけがえのない光に感じられた。

最期に悲しい想いをさせてしまった。
ボクは【次の世界】でも、また彼等の『仲間』になることが出来るだろうか?
彼等の力になれるだろうか?



不意に抱き締めたカケラは、とてもあたたく思えた。心地好いぬくもりに包まれているような気分になった。
このカケラを、【世界】を、ボクは大切にしたい。








―――――とても大切なカケラね。それはきっと、あなたに力を与えてくれる」









目を開ければ梨花が立っていた。
先に廻ったはずの梨花が、まだここにいたことに驚いた。








「ボクを、待っていてくれたの………?」



「一人で迷子になられたら困るもの。今度はみんなで力を合わせて運命に立ち向かうの、未来を切り開くの」








梨花が、手を差し伸べてくれた。
ボクはその手を取ろうと手を伸ばしたが、不意にその手を握り締め、地面に俯いてしまう。








「梨花、ごめんなさい………、ボクは力になれなかった。それに、きっとまたボクは傍にいることが出来ない。ごめんなさい」



「……………蒼唯、あんた日本語間違ってるわ」



「そうだぜ!」








梨花の声じゃない。
顔を上げれば、そこには大切なかけがえのない仲間達がいてくれた。








「蒼唯さんから『ごめんなさい』は、もう一生分くらいたくさん聞きましてよ!」



「そうそう、謝り過ぎなんだよね」



「誰も蒼唯のことを責めたりしませんよ。蒼唯は自分を責めすぎです」



「『ごめんなさい』より、違う言葉の方が嬉しいなぁ。ね?」








みんながボクに向かって手を差し伸べてくれていた。それが、とても嬉しかった。

ボクは一人ぼっちなんかじゃないんだ。
ボクには、こんなにも素敵な仲間達がいてくれる。こんなにも優しい仲間達がボクを信じて待ってくれているんだ。








「……………ぁ、ありがとう!」








感謝してもしきれない。
それは謝り続けることよりも、ヒトを笑顔にしてくれた。








「蒼唯、いつの間にか泣き虫になったね」



「だ、だって………!!」



「思いっきり泣けばいいのですよ。ぼくがいい子してあげますのです♪」



「あっ、梨花ちゃまズルいですよ!!」








みんな死んでしまったのに、なんで笑顔でいるのだろうか?でも、笑っていてくれることがとても嬉しい。








「行こうぜ、【次の世界】へ」



「今度こそ運命は打ち破る」



「私達は互いを信じ、疑わない」



「運命に打ち勝てることを信じる」








【次の世界】
ボクは、戦う。
弱い心の自分自身と、大切な仲間を傷付けるモノ達と。

もう、失うことを繰り返さない。
ボクは大切なカケラを手に入れた。








「あなたなら、きっと戦えるわよ。私達は信じてる。あなたが、カケラと共に雛見沢に帰って来ることを」



「必ず、その期待に応えてみせる。待っていて、ボクは負けない、諦めないよ」








仲間と仲間が出逢えたならば、それはとても大きな力になる。

みんなで協力すれば、みんなが力を合わせれば、出来ないことなんて何もない。



ボク等は廻る。
【次の世界】へ―――――















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