皆殺しの物語


□弍拾漆
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◇激戦◇
ゆずれない想い















爆発音の聞こえた校庭に辿り着くと、そこには傷だらけの体で立ち上がる綱吉の姿があった。



もう止めて欲しい。
戦わないでいて欲しいと願いたかった。
でも、それが無理なことで叶わない願いであることなのはわかっている。

これは、互いの意志のぶつかり合い。
より強い方が未来を手に出来る。
彼等の未来を決める、運命を変えるために戦いにボクが干渉することは出来ない。








「零地点突破はそんな技ではない!!!!」








零地点突破………?
初めて聞いた言葉のはずだった。
なのに、妙に懐かしいと思ってしまった。
どうして?なんで?

どこでいつ聞いたのだろう。
誰が口にした言葉だったのだろう。










――――――――――
――――――――
―――――










≪「………なぜだ、なぜおまえは」≫



≪「うるせぇ!!それはおまえが、一番よく知っているはずだッ!!!!」≫











―――――声が聞こえた。
激しい怒りの感情に本当の気持ちや言葉を隠して、全てを奪い壊すことで失った何かを取り戻そうとした。



彼は、裏切られた。
何も信じられなくなってしまった。

それは、誰が悪いの?
小さなひとつの嘘が疑心を生み、狂っていく【世界】をボクは知っている。










――――――――――
――――――――
―――――










≪「10代目の“]”をとってXANXUSと名付けました……………」≫



≪「これはボンゴレの死ぬ気の炎だね。間違いない、お前は私の息子だよ」≫











これは彼の悲しみ。
痛み、寂しさ、苦しみ、嫉妬。
そして、大きな怒りの感情。



あの子と少し似ている。
神を怨んだ、神なろうとしたあの子と。
全てを壊してでも自分の意志を押し通すことで復讐しようとしているんだ。








―――――零地点突破・改」








XANXUSから放れた炎が、包み込まれるようにして綱吉の力へと変わった。



あの姿、彼≠ノよく似ている。
本当に懐かしい……………


この懐かしいと思う気持ちは、ボクのものじゃない。一体、誰の気持ちなの?








「くそが………!!くそが!!ド畜生がぁ!!」








XANXUSの顔の古傷が広がっていく。
彼の怒りが、悲しみが形を表している。

ボクは知ってしまった。
彼の戦う意志を、その理由を。

ボクは見ていることしか出来ない。
彼を止めるべきなのに、見ていることしか出来なかった。








「かっ消す!!!!」









また、見ていることしか出来ない。
信じることさえもいつの間にか諦め、戦う彼等から目を背ける。



また………?

繰り返しているの………?










どうか御願いです、
私≠ニ同じ過去の過ちを繰り返さないでください。

どうか御願いです、
私≠ニ同じ過去の惨劇を繰り返さないでください。











だれ………?
ボクの内にいるあなた≠ヘ誰?
私≠ニは違う、あなた≠ヘ誰なの?



力のぶつかり合いが、爆発を起こした。
辺りは爆風と爆煙に包まれる。

聞こえた声は爆発音にかき消されて、また聞こえなくなってしまった。















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