皆殺しの物語


□拾弍
1ページ/4ページ
















◇雷戦◇
雷撃の避雷針















晴のリング争奪戦が終わり、家へと帰った綱吉は争奪戦と修行。そして明晩ランボが戦うということで頭がいっぱいだった。








「ランボ5歳だぞ、どうすんの?
殺されちゃうんだぞ!」








風呂場から部屋に戻ろうとした綱吉は台所の明かりに気付いた。

そこにいたのは10年バズーカによって入れ代わってしまった、大人ランボ。








「(せめて、明日戦うのがバカじゃなくてこのランボだったら………)って、出来るじゃん!!大人ランボが戦えばいいんだ!!」



「やれやれ、メモにあったリング争奪戦のことですね?」








大人ランボはリング争奪戦のことを1週間前に、家光からのメモ書きで知っていた。
それと一緒に置いてあったボロボロの角をランボは不吉がる。








「若きボンゴレ、考えてみてください。
もし子供の俺が明日殺されるなら、10年後のこの俺は存在していないはずです」



「あっ、そっか。ってことは……………
明日ランボは殺されないで勝つんだ!!」








綱吉が喜んだのも束の間。
大人ランボはその考えと希望を冷たく簡単に打ち消した。








「俺にはリング争奪戦なんてモノの記憶がないんです。ボスからもそんな話を聞いたことがない。もしかして、『リング争奪戦のなかった世界』の10年後から来たのかもしれない」



「へ!?な、何言っての?」








綱吉には、大人ランボの言っていることがわからなかった。
大人ランボは戦うことを断固拒否する。

ふとカレンダーを見た大人ランボは、何か考えるように固い表情をしていた。








「そういえば、今は6月でしたね」



「え?うん、そうだけど……………」



「…………………………そう、ですか」








大人ランボの表情を、綱吉は不思議そうに見ていた。
今まで何度か入れ替わりをして現代で顔を合わせているが、そんな真剣な表情を見たことがなかったのだ。








「……………お願いです、若きボンゴレ。蒼唯さんを、彼女を一人で雛見沢へ帰らせないでください!!」



「え………?」



「この時代の6月、あの場所に蒼唯さんを行かせてしまったら、ボンゴレは一生後悔することになる」








どういうことなのか?
綱吉が訊ねる前に、大人ランボは10年後へ帰ってしまった。

蒼唯を雛見沢に帰してはならない?
一体どうして何を後悔するのだろう?



未来を知る者からの警告。
しかしそれは、非道なる運命の前で意味を持たない。















.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ