皆殺しの物語
□拾弍
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◇雷戦◇
雷撃の避雷針
晴のリング争奪戦が終わり、家へと帰った綱吉は争奪戦と修行。そして明晩ランボが戦うということで頭がいっぱいだった。
「ランボ5歳だぞ、どうすんの?
殺されちゃうんだぞ!」
風呂場から部屋に戻ろうとした綱吉は台所の明かりに気付いた。
そこにいたのは10年バズーカによって入れ代わってしまった、大人ランボ。
「(せめて、明日戦うのがバカじゃなくてこのランボだったら………)って、出来るじゃん!!大人ランボが戦えばいいんだ!!」
「やれやれ、メモにあったリング争奪戦のことですね?」
大人ランボはリング争奪戦のことを1週間前に、家光からのメモ書きで知っていた。
それと一緒に置いてあったボロボロの角をランボは不吉がる。
「若きボンゴレ、考えてみてください。
もし子供の俺が明日殺されるなら、10年後のこの俺は存在していないはずです」
「あっ、そっか。ってことは……………
明日ランボは殺されないで勝つんだ!!」
綱吉が喜んだのも束の間。
大人ランボはその考えと希望を冷たく簡単に打ち消した。
「俺にはリング争奪戦なんてモノの記憶がないんです。ボスからもそんな話を聞いたことがない。もしかして、『リング争奪戦のなかった世界』の10年後から来たのかもしれない」
「へ!?な、何言っての?」
綱吉には、大人ランボの言っていることがわからなかった。
大人ランボは戦うことを断固拒否する。
ふとカレンダーを見た大人ランボは、何か考えるように固い表情をしていた。
「そういえば、今は6月でしたね」
「え?うん、そうだけど……………」
「…………………………そう、ですか」
大人ランボの表情を、綱吉は不思議そうに見ていた。
今まで何度か入れ替わりをして現代で顔を合わせているが、そんな真剣な表情を見たことがなかったのだ。
「……………お願いです、若きボンゴレ。蒼唯さんを、彼女を一人で雛見沢へ帰らせないでください!!」
「え………?」
「この時代の6月、あの場所に蒼唯さんを行かせてしまったら、ボンゴレは一生後悔することになる」
どういうことなのか?
綱吉が訊ねる前に、大人ランボは10年後へ帰ってしまった。
蒼唯を雛見沢に帰してはならない?
一体どうして何を後悔するのだろう?
未来を知る者からの警告。
しかしそれは、非道なる運命の前で意味を持たない。
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