皆殺しの物語
□玖
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ランボが雷の守護者と知った綱吉は、走り回ってランボを探していた。
ランボの傍にはフゥ太やイーピン、それに蒼唯もいるはずだ。
「アイツ5歳だぞ!!おバカだぞ!?」
「いろいろ事情があるんだ」
綱吉はランボが守護者であることが納得がいかなかった。幼い子供であるランボを、巻き込みたくなかったのだ。
「それに、たしかランボって、ボヴィーノファミリーなんだろ!!ボンゴレに入れていいのかよ!?」
「そんなことしたのは初代ぐらいだな。
初代ボンゴレは気に入った人間はどんな奴でも受け入れたからな。初代のファミリーは国王・軍人・ライバルマフィア・宗教家何でもありだったんだ」
「知るかよそんなの!」
綱吉はそんなことが聞きたかったわけではない。走り続ける綱吉を横目に、リボーンの表情が意地の悪い微笑みを浮かべた。
「噂じゃ、『魔女』もいたらしいぞ」
「ま、魔女なんて………!!そんなの本当にいるわけが―――――
「助けてぇ!!誰か助けてぇ!!!!」
助けを求める幼い声が聞こえた。
綱吉は何者かから逃げるように走って来る子供たちに気がついた。
「フゥ太!ランボ!イーピン!」
彼等の後ろでは、久しぶりに見る気がする蒼唯が黒い服の男とぶつかりあっている。
黒い服の男が、蒼唯へと武器を降り翳す。綱吉が蒼唯を庇おうと走り寄ろうとした。
その時。
男が勢い良く宙へ吹っ飛ばされた。
男を吹っ飛ばしたのは、綱吉の見知った顔だった。
「ボンゴレファミリー、晴の守護者にしてコロネロの一番弟子。笹川了平、推参!!」
「お兄さん!!!!」
「まだだぞ」
リボーンの言葉通り、潜んでいた敵が姿を表した。しかし、現れた敵を倒す味方も、現れていた。
「ったく、何でアホ牛がリングを………」
「もう大丈夫だぜ」
獄寺、山本が蒼唯やフゥ太達を守るように立っていた。
「み、みんな………!!」
「家光の奴、間に合ったみてぇだな」
集まる、惨劇の役者達。
それは人形劇のように糸に操られ、惨劇のシナリオに翻弄されていく……………
「せいぜい足掻いてみればいいわ」
決められたシナリオの舞台では、足掻くことさえ叶わない。
運命は用意され歯車は廻る。
それは、既に決まっていること。
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