皆殺しの物語
□捌
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◇襲来◇
敵の足音が迫る
目を覚ませば昼過ぎだった。
時間感覚がおかしくなりそうだ。
長く意識を飛ばし過ぎていて身体が悲鳴をあげている。
それでも、後悔はしていない。
立ち止まることも、やめにしよう。
「……………綱吉達に、逢わなきゃ」
この世界に来てから、銀髪の彼に襲撃されたりしてまともに話してない。
あれ、あの時どうなったんだっけ?
ピンポーンッ
部屋に洋風な音が鳴った。
何だっけ、扉の所についてるあれの音だ。
家光かな?
扉を開ければ京子とハルが立っていた。
「蒼唯ちゃん!!」
「本当にいました!!心配したんですよ」
「えっと、ごめんなさい………?」
2人を不安にさせるようなことを、ボクはしてしまったのだろうか?
「蒼唯姉、心配したんだよ」
「蒼唯のバカ!!!!オレっちも、すんご〜く心配したんだじょ!!!!」
「£#*§!」
京子とハルの後ろには、フゥ太やランボ、イーピンもいた。
ボクは、みんなに心配かけたんだ。
みんなに悲しい顔をさせてしまった。
「えっと、あの………、ごめん、なさい。……………それから、ありがとう」
心配かけて、ごめんなさい。
でも、ボクは心のどこかで嬉しかった。
心配してくれて、ありがとう。
久しぶりに。この世界に来てから初めて、普通に笑えた気がした。
「学校にも来ないから、本当に心配したんだよ!ツナ君のお父さんから家に閉じ籠ってるって聞いて……………」
「本当に、ごめんね。もう大丈夫だから」
ボクはもう大丈夫。
守ることを、決めたから。
「部屋に閉じ籠ってるのはよくないです。ハル達、これからランボちゃん達と遊びに行くんですけど、蒼唯ちゃんも一緒に遊びに行きませんか?」
「……………うん、行く」
京子達は笑ってくれた。
大切なヒトには笑っていて欲しい。
悲しい顔は、して欲しくない。
どうか、笑っていてください―――――
それだけがボクの願いです。
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