皆殺しの物語
□陸
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綱吉は崖を上ろうとしていた。
あれが、綱吉が強くなるための修行?
男の子はいつも無茶をする。
圭一だって、レナと屋根上で乱闘して。
悟史だって無茶をして……………
「あいつ、ツナにあの技をマスターさせるつもりだな」
「綱吉………」
見てられない。
傷だらけになってまで、強くなって欲しくない、運命と戦って欲しくない。
「……………次に行こうか」
途中で見ていることが出来ずに、思わず目を伏せていた。
見ているだけなんて、傍観なんて、いつもやっていたことなのに、それすら出来ずになってしまった。
ボクは弱い、何も出来ない、
学校の屋上では、恭弥とディーノが戦っていた。何故戦うのか、わからない。
戦うことで強くなるのならば、争いはなくならない。
争いから得ることなんて何もないはずだ。
「それでいい。お前達はどんどん戦え」
間違っている…………
そう考えるボクは、間違っていますか?
武は父親に剣道の指導を頼んでいた。
この戦いが終わったら、武は今までの彼と変わってしまう気がする。
それはみんなに言えることかもしれない。
「そうだ。山本武………、お前の剣に一番足りないのは、その凄まじき気迫よ」
変わらないで欲しい。
でも、それは叶わない願い。
了平も、子供から何かを学んでいた。
彼まで変わってしまう。
彼もまた戦いに巻き込まれる……………
「『晴のリング』にふさわしい資質に気が付くとはさすがアルコバレーノ。奴が開花すれば、大きな戦力になる」
どうしてみんなが巻き込まれるの?
どうして戦わなければならないの?
どうして、ボクはこんなに弱いの?
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