皆殺しの物語


□陸
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◇傍観◇
何もせずに見ていること















井戸の外の世界が知りたくて

私は井戸の底から

這い上がろうとしました





井戸の外の世界が知りたくて

何度滑り落ちて全身を打ち付け

上り続けました








でも気付きました





上れば上るほどに

落ちる時の高さと痛みは増すのです



外の世界への興味と

全身の痛みが同じくらいになった時

私は初めて

蛙の王さまの意味がわかりました








Frederica Bernkastel
















傷付ければ傷付くほど
心は臆病になっていた

悲しい想いが深ければ深いほど
幸せを喜べなくなっていた



幾千度と繰り返されてきた
同じ時間、同じ世界

笑顔を忘れてしまった少女は
心に鍵を掛けて引きこもるが
その隙間から射し込んでくる光に気付いて顔を上げる

パンドラの希望は
本当に存在していたのだろうか
















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