皆殺しの物語
□参
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◇無力◇
自分の力じゃない
綱吉は一人ランボの面倒を見ていた。
何故か考えてしまうのは、蒼唯のこと。
「(ランボの世話して、蒼唯の傍にもいてやれないしなぁ……………
って、俺は別に蒼唯のこと////)」
「おつかれさま」
顔をあげれば、そこには京子がいた。
正面の椅子にはイーピンも座っている。
自分の前に置かれた缶ジュースに、綱吉は礼を言った。
「ねぇ、ツナくん。ツナくんは蒼唯ちゃんの元気がない理由に心当たりない?」
「……………俺にもわかんないんだ。俺にも、蒼唯が何を抱えてるのか」
2人は黙って俯いてしまった。
しばらく周りの声が煩く聞こえた。先に話を切り出したのは、綱吉だった。
「蒼唯には笑っていて欲しいから、何かを抱え込んでいるなら、その何かを取り除いてあげたらいいなって思ってる」
「………そうだね」
2人は顔を見合せて笑った。
自分達が悲しんでいると、あの子はもっと悲しむから。笑っていれば笑ってくれる。
「ツナくん、黒曜から帰って来て、何だか変わったよね」
「えっ!?」
「だって今のツナくん、とっても頼もしいから。蒼唯ちゃんのこと、守ってくれるって信じてるよ」
京子の笑みに、綱吉も微笑み返した。
「守るよ………、必ず」
「ランボさんも、蒼唯のこと絶対に守るんだもんね!」
ランボの言葉に2人で微笑み合っていた。
その時だった。
激しい衝撃音が近付いて来たと思ったのも束の間、爆発音と爆煙が辺りに広がる。
「な、何………!!!?」
椅子から立ち上がった綱吉目掛けて、爆煙の中からヒトが飛んできた。
綱吉はヒトの下敷きになり、そのまま一緒に吹き飛ばされる。
「す、すみません……………」
綱吉を下敷きにしていることに気が付いたそのヒトは、直ぐに上から退く。
と、綱吉の顔を見ると表情が変わった。
「おぬし………!!」
「21世紀に、おぬし………?」
綱吉は体の痛みに気を取られながら、疑問を抱いていた。そこへ獄寺や山本、そして蒼唯が駆けて来た。
近くで見ていたリボーンは、綱吉に飛んできたそのヒト、否少年を不思議そうに見ていた。顔見知りのようだ。
「う゛お゛ぉい!!!!」
そこに轟いたのは、男の声。
見上げれば爆発した場所に長い銀髪の男が立っていた。その手には刃。
鋭い視線が綱吉達を見下ろした。
「なんだぁ?外野がゾロゾロとぉ。邪魔するカスはたたっ斬るぞぉ!!」
「な、何なの一体!?」
「嵐の予感だな」
新たな戦いの幕が上がる。
それもまた、この世界の運命。
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