皆殺しの物語
□壱
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◇序章◇
ハジマリ、ハジマル
世界は廻った。
暗闇の中でボクの意識がゆっくりと覚醒する。
廻り、廻る、世界を廻った。
………そうだ。ボク等はまた、運命に抗うことは叶わなかったんだ。
『既にこの世界の歯車は回り始めたわ』
世界の歯車が………?
この世界の運命はもう決まっていると言うの?
この世界の終わりが決まっている?
そういうことなの?
『あらあら、まだ何もハジマッテはいないのに。運命が廻り始めただけで、貴女はもうこの世界を諦めているの?貴女も梨花と一緒?』
あなたは、一体誰………?
どこかで逢ったことがある気がした。
そう、【前の世界】でボクの心の内に干渉してきた“声”
あなたは、私=H
『覚えてくれていたのね。くすくすくす、嬉しいわ。そう。貴女と同じで、全く別の存在………、私は私≠諱x
あなたは、知っているのですか?
ボクの知らない過去の出来事を。
雛見沢で繰り返される惨劇の犯人を。
『私≠ヘ全てを知っている。故に貴女も【この世界】で全てを知ることになるでしょうね』
全てを知っているのに、あなたは雛見沢の運命を覆そうとは思わないの?
みんなを助けようと、思わない?
『運命は非道で、残酷。それを覆すことは決められたルールを破ることになる』
たとえ掟を破ることになったとしても。
多くのヒトが不幸になる運命は、覆さなければならない。
多くのヒトが死んでしまうような。
傷付いてしまうような運命など、【この世界】に必要ない………!!
『掟を破り、貴女が自身が、罰を受けることになっても?』
みんなが幸せに、笑っていることが出来るならば、ボクはどんなことでも出来る。
どんな罰でもこの身に受ける。
『貴女は、変わったわ。いえ………、本質は何も、何一つ変わっていないのかもしれない』
ボクはボクだ。
何があってもそれは変わらない。
何度世界を廻っても、ボクがボクであることは変わらない。
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