皆殺しの物語


□壱
1ページ/3ページ
















◇序章◇
ハジマリ、ハジマル















世界は廻った。
暗闇の中でボクの意識がゆっくりと覚醒する。

廻り、廻る、世界を廻った。
………そうだ。ボク等はまた、運命に抗うことは叶わなかったんだ。










『既にこの世界の歯車は回り始めたわ』










世界の歯車が………?

この世界の運命はもう決まっていると言うの?
この世界の終わりが決まっている?
そういうことなの?










『あらあら、まだ何もハジマッテはいないのに。運命が廻り始めただけで、貴女はもうこの世界を諦めているの?貴女も梨花と一緒?』










あなたは、一体誰………?

どこかで逢ったことがある気がした。
そう、【前の世界】でボクの心の内に干渉してきた“声”
あなたは、私=H










『覚えてくれていたのね。くすくすくす、嬉しいわ。そう。貴女と同じで、全く別の存在………、私は私≠諱x










あなたは、知っているのですか?

ボクの知らない過去の出来事を。
雛見沢で繰り返される惨劇の犯人を。










『私≠ヘ全てを知っている。故に貴女も【この世界】で全てを知ることになるでしょうね』










全てを知っているのに、あなたは雛見沢の運命を覆そうとは思わないの?
みんなを助けようと、思わない?










『運命は非道で、残酷。それを覆すことは決められたルールを破ることになる』










たとえ掟を破ることになったとしても。
多くのヒトが不幸になる運命は、覆さなければならない。

多くのヒトが死んでしまうような。
傷付いてしまうような運命など、【この世界】に必要ない………!!










『掟を破り、貴女が自身が、罰を受けることになっても?』










みんなが幸せに、笑っていることが出来るならば、ボクはどんなことでも出来る。
どんな罰でもこの身に受ける。










『貴女は、変わったわ。いえ………、本質は何も、何一つ変わっていないのかもしれない』








 

ボクはボクだ。
何があってもそれは変わらない。

何度世界を廻っても、ボクがボクであることは変わらない。















.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ