罪滅しの物語
□捌
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◇勧誘◇
英語で言うと“すかうと”
雛見沢のことや仲間達のことを想えば想うほど、何故今此所にいるのかと自問自答を繰り返す。
繰り返しても、答えはやはり変わらなくて。
ボクは自分で選んだ道を疑うことのないように、間違いだった後悔することのないように。
歩み続けるしかないんだ。
傍観者をやめて、仲間達と共に、二度と惨劇の起こらない【世界】に至るために。
「ちゃおッス」
「?」
聞き慣れない声がした。
それいきなり、気配なく武の肩に現れた。
小さな、赤ん坊。
黒いすーつを着たへんてこな赤ん坊だ。
この珍妙さと言うか、奇怪さは羽入といい勝負だと思う。
『(あ、あぅ、あぅあぅあぅ………!!ひ、酷いのです、あんまりなのです!!)』
「リボーン!!学校には来るなって、いつも言ってるだろ!!」
「黙れダメツナ」
「ホギャ!!」
綱吉の顔面に向かって強烈な飛び蹴りを喰らわせたその赤ん坊は反動で地面に着地していた。
綱吉は勢いよく地面に倒れ、そんな様子を隼人が慌てて心配をしている。
……………本当に変わった赤ん坊だ。
もしレナが見たら、かぁいいモード発動で大騒ぎになるだろう。
「お前が天覇蒼唯か?」
「………そうだよ。君の知っている『天覇蒼唯』なのかどうかは知らないけどね」
赤ん坊はしばらく黙っていると、黒い帽子の上にいたかめれおんを黒光りする銃に変えて手に取った。
なかなか面白い手品をする。
今ある物の形を違う形に変えるのは凄く難しい。
っと、なんだか、そんなことを考えている場合じゃなさそうだな。
その銃の形は、葛西に見せてもらっていた物とよく似ている。
多分、本物なんだろう。
「り、リボーンさん!!!?」
「……………お前、怖くねぇのか?」
「何を、怖がればいいのかな」
本物であろうとなかろうと、死への恐怖心は既に持ち合わせてはいない。
ボクが怖いのは、独りになってしまうことだけ。
今更銃口ひとつに臆する必要なんてない。
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