罪滅しの物語


□伍
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◇学校◇
学舎、そこは牢獄















学校へ行くことは義務だ。
ボクはその義務を何度も繰り返している。
同じことを学び、考え、答えを求める。
同じことの繰り返し。
そこには決められた過程があって、揺らぐことのない教育方針とかがあるから。

仕方がないと頭では理解していても、繰り返されることは嫌いだ。
だからボクは、凡庸な毎日を嫌う。
毎日何か新しい発見がなければ、退屈で憂鬱で仕方ない。





それに比べて魅音の考える部活は楽しい。
それは部活を行うと言う意志のみで、何をするかは気まぐれによってその時々で違うものを選んでいるから。
ゲームの展開も決まりきったものではないので、退屈なんて微塵も感じない。
感じてられない。

だから、雛見沢では学校が楽しみだった。
時には授業の問題も部活風に競い合ったりしたことだってあった。
なのに、あんなに楽しい時間は、此所にはない。










『蒼唯が雛見沢を出る必要は、なかったのではないのですか………?』



「……………羽入は雛見沢から外に出たボクのこと、怒っている?」



『そ、そんなことはないのです!!!!………ただ、蒼唯が一人で悲しい想いをして此所にいたとしても、運命が変わることなんて、ないのですよ……………』










運命が変わることなんて、ない、か。
確かにそうかもしれない。
何より羽入は期待を持つことに後ろ向きで、傷付くことのないようにずっと傍観者として過ごしてきた。

ボクも同じように傍観者だった。
だけど、このままではいけないと思った。
いつからか感じていた、自分自身に対する違和感。
何かを変えるため、まずは自分から変わらなければと雛見沢から外に出た。




運命を変える何かが必ずあると確信があって此所へ来たわけでもない。
ただ宛もなく、探すとやって来ただけ。
ないことだってある。








「雛見沢の外には、雛見沢にはない運命を変える何かがあるとボクは思う」



『外にある何か=Aなのですか?』



「そう思いたいだけかもしれない………。でもね、圭一がそうであるように村の外には村とは違う何かがある気がするんだ」



『あぅあぅ…………』










羽入は、運命に屈服しようとしている。
信じることを、諦めている。

それが、どうしようもなく悲しい。
でも、それを責めることはできなくて。
ボクは証明しなければならない。
全てを諦めている羽入や、梨花に。








「……………ボクは、運命に屈しない。戦うよ」








もう、見ているだけは嫌だから。
見ているだけで、後悔を繰り返して、いつ来るかもわからない最良な【世界】のために今目の前にある【世界】や仲間を見捨てることを。
ボクはやめることにしたんだ。

運命が変わらないのなら、自分の手で変えよう。
圭一がそうであるように。

ボクも自分自身の力で、変わらないことを変えて仕舞おう。



決意を胸に、ボクは今行くべき学校へと向かうため、この土地の家を後にした。















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