皆殺しの物語


□玖
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銀髪の男、スクアーロが雨の守護者である山本と対峙していると、スクアーロの肩を掴み、前に出た男がいた。








「出たな………。まさか、また奴を見る日が来るとはな」








綱吉達はその男を見上げた。
紅い瞳が、綱吉達を見下している。








「XANXUS」








それは、その男の名前。
XANXUSは、殺意を込めた瞳で綱吉達を見下し、禍々しい殺気を放つ。
その殺気に綱吉は思わず尻餅をつき、獄寺達は一切動くことが出来なかった。








「沢田綱吉……………」








XANXUSの拳が光を放つ。
その行動には、XANXUSの後ろに控えていたヴァリアーのメンバーでさえも慌てふためいた。








「死ね」





―――――貴方がね








凛とした鈴のように、冷たい音がした。
その場の空気を一瞬にして凍り付け、支配してしまうほど恐ろしく響きのある声。








「あの子を傷付ける人間は、何人たりとも私≠ェ排除する。例えあの子が、それを望まなくても」








XANXUSの前に立ったのは、まるで夜空に浮かぶ三日月のように大きな鎌を手にした、蒼唯。
ではない、蒼唯≠セった。

XANXUSの首筋へと三日月の刃を突き付ける蒼唯≠ヘ残虐的な笑みを浮かべていた。








「お前は………!!」



「こんばんは、愚かな偽善者








重々しい殺気が辺りを支配し、より冷たい声が響き渡る。それはまるで刃のように、スクアーロに刺さった。








「貴方は蒼唯を許してくれた。あの子の罪を許してくれたのに………、今またあの子を悲しませた」








血のように紅い瞳が空を見上げる。

同じ空の下、この世界を嘆く者がいた。
痛々しく嘆く声が彼女にも聴こえる。








「私≠ヘ、蒼唯を傷付ける全てのモノを許さない








三日月のような鎌が、振り上げられる。
それはまるで、本当の三日月が空に浮かんでいるように見えた。








「こんな下らない世界………、何もかも。死んで仕舞えばいいのよ








ザシュッ





肉を裂く音がした。

降り下ろされた三日月は白い腕の肉を引き裂き、刃に血を滴らせていた。








「蒼唯……………」








三日月の刃は蒼唯≠フ手から離れ、地面に落ちた。音はない。

三日月を握っていなかったもう片方の白い腕からは、大量の血が滴り落ちていく。








「貴女はまた、私≠拒むのね」








蒼唯≠ヘ自嘲な笑みを浮かべた。
閉じられた瞳が再び開かれると、紅い瞳は澄み切った蒼の瞳に変わっていた。








「拒むんじゃない………、否定するんだ。あなたの考えを。この世界はまだ終わったわけじゃない、ここからはじまるんだ」








蒼唯は、その場に膝をついた。

ここからはじまる。
絶望の淵から立ち上がり、前を見る。
道は閉ざされてなどいない。















◇対面◇end
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