皆殺しの物語
□玖
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綱吉達が来てくれた。
それだけで安心することが出来た。
綱吉が来てくれなければ、ボクは自分自身を失っていただろう。
私≠ノ、変わってしまいそうだった。
「蒼唯!!大丈夫!?怪我してない!?」
「大丈夫………、ありがとう」
何故か綱吉達の顔が赤くなったように見えたけど、修行のし過ぎで風邪でも引いたのだろうか?(注:主人公鈍感)
「蒼唯〜、疲れたじょ〜抱っこ〜」
「こら、ランボ!!ん?」
ランボのもじゃもじゃの頭にきらりと光るものがあった。
それは半分に欠けたような形の指輪。
家光から聞いた奪い合いの戦い。
幼いランボまで巻き込まれているんだ。
戦わなければ、ならないんだ……………
「しかし、思ったより骨のない連中だったな。楽勝だぞ!」
「こいつらはヴァリアーの中でも下っぱのだ。本当に恐ぇのは……………」
リボーンが言いかけた時。
ヒトの気配、殺気の気配が迫ってきた。
ボクにはよくわかる。
遠くからいくつもの気配が、この場所へと集まって来ている。
「邪魔立てすれば皆消す」
「皆殺しを、ハジメマショウ」
ドクンッ
鼓動が大きく聴こえた。
私≠フ冷たい声が、耳元で囁かれた気がした。心臓が掴み出されてしまうような、心臓を握られているような……………
生きている≠ニいう実感がない。
怖い、痛い………、やめて………!!
「待てぇ、レヴィ!」
「一人で狩っちゃだめよ」
「他のリングの保持者もそこにいるみたいなんだ」
胸元を押さえながら見上げれば、そこにはヴァリアーと呼ばれる複数のヒト達が佇んでいた。
殺しの気配がする……………
ヒトを殺した人間の独特な気配が。
「う゛お゛ぉい!!!!」
大きな怒号がその場に響いた。
あの声の彼は、知ってる……………
ヒトを傷付けるヒト。
私≠ニぶつかりあったヒト。
それでも、ボクを『許す』と言ってくれた優しく変わったヒト。
「よくも騙してくれたなぁ、カスども!」
彼は綱吉達の敵……………
ボクを許してくれた。
それでも、戦わなければならない。
戦うことは避けられない。
ヒトは戦うことで、相手と自身が違う≠ニ知る。違う≠ニ知らないから、理解が出来ない。
「彼等が戦う必要なんてないわよ、だって私≠ェみんな殺してしまうのだから」
「っ、ぁぁ………!!!?」
目の前が。
赤く、紅く、緋く、
朱く染まっていくのを感じた―――――
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