皆殺しの物語


□弍
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綱吉達に京子やハル、フゥ太やランボ達も合流して大所帯となっていた。
ハルは蒼唯の姿を見るとすぐに駆け寄り、その小さな体に抱きついた。








「蒼唯ちゃ〜ん!逢いたかったですぅ!」



「久しぶりだね、ハル」



「ハルは昨日デストロイな夢を見たので、蒼唯ちゃんに逢うまではブロークンハートだったんですよ〜。ふぁ〜ん、本当に夢で良かったですぅ」








夢、その言葉に綱吉達は反応した。
蒼唯は不思議そうに首を傾げる。








「で、ですろいな夢?」



「そうなんですよ!蒼唯ちゃんが世界からいなくなってしまうというデンジャラスな夢です!本当にそんなことがなくて、ハル安心しました。やっぱり夢ですよね」



「私も、昨日同じような夢を見たよ」








京子の言葉に綱吉達は動揺した。
京子やハルも同じような夢を見ていた。

彼女がいなくなる夢。
共通の夢を見ることなんて、偶然には思えない。



蒼唯はそれを聞き、暫く何か考えるとまたいつものように笑って見せた。








「同じ夢を見るなんて、京子とハルは凄く仲良しさんなんだね♪」



「うふふ、そうだね。でも、あんな怖い夢じゃなかったら良かったな」



「本当ですよ〜!」








笑い合っている女の子達。
その中で、蒼唯が見せた悲しげな表情を、綱吉は見逃さなかった。








「………ごめ…さい………ご……なさ……………んな………い……」








小さな声がした。
虫のなく声と例えるように、とても小さな声。綱吉はそれを聞き取った。








「…さい………ごめん…なさい………」








押し殺すような声。
蒼唯は、何かを謝り続けていた。



なんで彼女は謝り続けているんだろう?
彼女は何に謝り続けているんだろう?
あんなに謝り続けているんだ

もう許してあげればいい
彼女ももう、謝るのを止めればいいのに










どうか嘆かないでください











綱吉は我に返った。
自分は今、何を考えていたのだろか。

さっきの夢の話など忘れたように、みんなは蒼唯を中心にはしゃいでいる。
綱吉も違和感を拭い去るように、いつもと変わらないその風景に溶け込んでいった。















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