罪滅しの物語


□弍拾肆
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『憑依弾』と呼ばれる特殊弾により、骸は他人の肉体にとり憑いていた。

槍先に傷つけられた人間は骸の憑依対象になる。獄寺、ビアンキ、そして犬や千種にまで憑依した骸は綱吉に襲いかかる。
餓鬼道の能力や地獄道の能力に翻弄され、リボーンにまで攻撃の矛先が向く。








「久々に感じる実戦の空気だな」









その攻撃をくぐり抜けながら、リボーンは綱吉に兄貴分であるディーノの話をする。
綱吉はその話を聞いても、自分と比較して自信を持つことが出来ない。

その時、骸の放った獄寺のダイナマイトが綱吉に直撃する。








「さぁ、おしゃべりはこれぐらいにして、終わりにしましょう」








千種に憑依した骸が槍先を手に、右目に死ぬ気の炎を灯して綱吉に迫る。

が、その体はガクッと崩れ落ちた。
動かない体を無理矢理に動かす骸を、綱吉は許すことが出来なかった。








「何言ってんの!?仲間の体なんだろ!?」



「違います。憑依したら僕の体です。壊れようが息絶えようが僕の勝手だ」



「そんなの………、おかしいよ」








傷口から血を流す獄寺とビアンキ。

綱吉は2人の痛々しい姿に表情を歪める。
骸は2人を人質に綱吉に迫る。








「どうしょう…、リボーンどうしょう!!」



「俺は何もしてやれねぇぞ。自分の力で、何とかしろ」








冷たく突き放すリボーン。
綱吉の表情は今にも泣き出しそうだ。
リボーンはその顎を蹴り上げる。








「情けねぇ声出すな」








リボーンは綱吉の胸ぐらを掴み、真っ正面から向かい合う。








「いいかツナ。お前は、誰よりもボンゴレ10代目なんだ」



「!?」



「お前が気持ちを吐き出せば、それがボンゴレの答えだ」








羽入は目を閉じた。
綱吉のことは蒼唯の傍から見ていて知っている。ここまで辿り着くまでの間も、後ろから見て知っている。

彼はとても優しい人間だ。気が弱く、何事も諦めやすい。自分と同じような人間だ。
だから、彼が吐き出す気持ちは、答えは、安易に想像が出来る。



この世界の、この場所は終わる。
結局、その程度のことで。
奇跡を起こすカケラ≠ネんて、雛見沢の外にもあるはずなかったんだ。








「………ちたい……………………」



「!?」



『?』



「骸に………、勝ちたい………」








その言葉に骸は笑う。
終わりだと思っていた羽入は驚いたように目を開け、綱吉を見た。








「こんな酷い奴に……………
負けたくない……………
こいつにだけは勝ちたいんだ!!!!」



『!!!!』







その瞳には覚悟が、彼の強い意志が込もっていた。その強い意志にリボーンの連れていたレオンの繭が羽化した。



羽入にはわからなかった。
弱いはずの彼が立ち向かうと決めた。
自分と同じように、彼は無力だったはずなのに。

どうして………?















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