罪滅しの物語


□拾捌
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ズガンッ!





当然銃声が聞こえたかと思えば、放たれた銃弾が地面にめり込んでいた。
塀の上には硝煙の昇る、今しがたの銃弾を放った銃を構えたリボーン。








「な、何やってんだよ!リボーン!!」



「俺は一流のヒットマンだからな。背後に立たれるのは好きじゃねぇぞ」



「意味わかんねぇよ!!!!」








銃弾めり込んだその数p後ろで羽入が腰を抜かしていた。

羽入は何も話せないし、何も触れることは出来ない。幽霊のような存在だ。
しかしながら、ヒトと同じようにいきなり自分に向かって銃弾が飛んで来たらそりゃ怖いだろう。










『あぅあぅ!!あぅあぅあぅあぅ………!!!!
蒼唯〜!蒼唯〜!早く、早く来てくださいなのですよ〜!』











目には涙が浮かんでいる。
ヘタレた神はマフィアに勝てそうにない。








「お前等さっさと行くぞ。『オヤシロさま』が一緒なんて、良かったなツナ」



「良くないよ!!!!」








羽入はヨロヨロしながらもゆっくりと立ち上がり、これから戦いに行く彼等の背中を見ていた。

まだまだ小さい、子供の背中だ。
そこには多くの想いを背負っている。










『蒼唯………、彼等が僕の足音を聞いたのは、決して雛見沢症候群なんかではないのですよ』









羽入は俯きながら、この場にはいない蒼唯に語りかける。










『確かに、圭一は雛見沢の住民でなくとも発症しましたですが、圭一は雛見沢に来ましたのです。でも、綱吉達は雛見沢と全く関わっていないのですよ』










戦いの前とは思えない団らんとした様子。

羽入はただ見ていた。
見ていることしか出来ないから。
ずっとずっとそうだった。
そうやって、100年の時を過ごして来た。










『彼等が僕の足音を聞くのは……………
もしかしたら、本当に僕の存在に気付いているのかもしれないです』











ただ見ていることしか出来ない神は、自分の存在に気付きはじめている彼等を見守りたいと思った。

『気付いて欲しい』という、自分の願いもあったのかもしれない。










『彼等は、不思議なヒトなのです………』










奇跡を起こしてくれそうな。
そんなヒト達。

信じて、信じてみても……………
羽入はぐっと唇を噛み締め、距離を開けながら綱吉達の後をついていく。



信じることの出来ない神は、ただ見ていることしかしなかった。















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