Are You Happiness?
□Episode.]]]
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夢は幸せに満ち溢れている。
自分の望みがなんでも叶う夢は、幸せそのものと言っても間違いではないだろう。
子供は幸せでいなければならない。
大人達の都合など知る必要もなく、好きなことをして笑っていて。
そして、夢みている。
おとぎ話の世界の住人のように。
願いが叶うと信じ、純粋に育っていくことが出来ればいい。
オレには、出来なかった。
夢みていたのは、将来の夢や何が欲しいという物欲ではない。幸せになりたかった。
今起きていることが全部悪夢や幻で、誰かが覚まさせてくれると思いたかった。
でも、全てが現実だった。
逃げることの出来ない、紛れもない真実。
わたくし=w如月ロキ』。
今では逃げることを諦め、夢をみることもやめてしまった―――――
希望も、願望も、信じることさえも今では必要とは思わない。
シンデレラも白雪姫も、おとぎ話の中の話だから幸せになれるんだ。
現実に王子様も魔法使いも、オレを助けてくれる者はいない……………
屋敷から拉致され、どのくらい経ったのかわからない……………
口の中は血の味だし、体に巻いていた包帯はあちこちほどけ始めた。
お嬢様はそんなオレの姿を嘲笑う。
「無様よね。貧相な使用人のあなたには、よくお似合いの姿よ」
「……………」
「なによ!!言いたいことがあるなら言えばいいじゃないッ!!」
バッシン!!
頬を叩かれたけど痛みは感じなかった。
それに引き換え、オレを叩いた彼女は体をワナワナと怒りに震えさせている。
「気に食わない………!!」
バシンッ
「なんでよ!!なんでなんでなんで!!!?」
バシンッ バシンッ
「なんで私を哀れんだ目で見るのよ!?」
ドカッ
ドテンッ!!
さっきと同じように椅子が転倒した。
見下されるのはあまり気分がいいもんじゃない。オレはお嬢様の姿を見上げた。
彼女は後退りさるように一歩さがった。
別に哀れんでいるつもりはない。
だけど、思ってしまう。
「あなたは、裕福な人間かもしれない。
だけど、本当の幸せを何も知らない不幸な人間だ……………」
彼女が自分自身を幸せだと思っているならそれでもいい。
だけど、彼女は幸せだと思うことがきっと出来ないと思う。本当の幸せがなんなのか知らないから……………
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