二人のオアシス。

□秘めたる思い
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『あれ?目の前がグラグラする。』

『バタンッ。』

熱のせいで、僕は意識を失った。

「うっ…うん。」
「気が付きましたかな?Mr.ポッター。」
「…ここは?」
「我輩の寝室だが?マダムポンフリーは、今日出張でいないのでね。我輩の寝室ではご不満かな?英雄殿は。いきなり、倒れられたのでお連れしたんだが。」
「…すみません。ご迷惑お掛けしました。寮に帰ります。失礼します。」

僕は今度こそ泣いてしまうんじゃないかと思った。
だって、こんなに迷惑かけちゃったし…益々嫌われた。

「待ちたまえ。」
「えっ?」
「まだ理由を聞いていない。」
「何のですか?」
「倒れたのと、熱を出した理由だ。」
「理由…ですか?」
「さよう。これだけの迷惑を掛けられたのだ、我輩に聞く権利くらいあるだろう。」
「それは…。」
「言えぬのかね?」
「分かりました…言います。それは、殆んど睡眠をとらずに勉強していたからです。」
「何の教科かね。」
「魔法…薬学です。」
「ほう…何故?」
「スネイプ先生に…少しでも、認めてほしかったんです。僕は…先生が好きだから。」

言ってしまった…。
最悪のタイミングで…。
終わった………………。

「Mr.ポッター。」
「はい。」
「何故泣いている?」
「泣いて、ません。」
「はぁ…敵わんな。」
「えっ?」

スネイプ先生が、自分のローブの袖で僕の涙を拭いてくれた。

「ハリー。」
「!」
「ずっと、こう呼びたかった。確かに、お前の父親は少からず憎んでいる。お前に辛くあたったのは…父親そっくりだったからだ。だが…中身は違った。我輩は、次第にお前を好きになった。だが、今更態度を変えるわけにもいくまい。それに、我輩は教師だ。」
「だから、僕に冷たくし続けたんですか?」
「そうだ。まさか、泣かれるとは思わなかったがな。」
「先生、僕…ドラコが羨ましかったんです。」
「ドラコが?何故?」
「嫌味も減点も、冷たい目もされず普通に隣に居られるから。僕は…その位置が欲しかった。それだけでいいんです。僕に、その権利をください。」
「何を言っている。」
「ダメですよね…。」
「違う…我輩の話を聞け。我輩はお前を愛している。だから、最高の権利をやろう。」
「最高の権利?」
「恋人だ/微笑。」

スネイプ先生が…笑った。
しかも、僕の一番欲しかった言葉をくれながら。

「本当に?」
「あぁ。嫌かね?」
「まさか!」
「よろしい。では、もう少しここで休んでいきなさい。解熱剤を作ってやろう。」
「はい!スネイプ先生。」
「ハリー、これからはセブルスと呼べ。」
「分かったよ。セブルス///。」
「また熱が上がったか?/笑。」
「もう!///。」
「さぁ、座りなさい。」
「うん。」


セブルスはあっという間に解熱剤を作ってくれた。

「これを飲んだら、熱は下がるだろう。」
「はい。」
「ハリー。」
「何?」
「これからはこんな無理はするな。分からないことがあれば、私にに聞けばいい。」
「分かった。」
「Ms.グレンジャーではなくてな。」
「もしかして、妬いてるの?/笑。」
「うるさい///。」
「ふふっ。」

何か…幸せだ。
セブルスは、僕にすごく優しい。
ドラコの位置よりも、こっちの方がいいや。

「あっ、消灯時間だ。僕帰るね。」
「そうか。では、送ってやろう。」
「いいよ。一人で帰れる。」
「駄目だ。また倒れたらどうする。」
「はぁい。」

本当は消灯時間まで1時間もあった。

でも、身体がきつかったから帰るって言ったんだ。
それをセブルスは察してくれたみたい。

「歩けるか?」
「大丈夫。でも、なんだか寒いや。」
「風邪のせいだな。」

『フワッ。』

「これで少しは暖かいだろ。」
「ありがとう。セブルス。薬草の匂いがする。」
「嫌いか?」
「違うよ。セブルスの匂いだもん、これ///。」
「そうか///。」

二人とも、そのあとは無言のまま歩いた。

フレッドとジョージが廊下にいた。
と言うより、まだ生徒はたくさんいた。
でも、セブルスは僕を支えてゆっくり歩いてくれたんだ。

「見ろよ!相棒。あの陰険根暗教師がハリーと一緒に居るぜ!」
「ほんとだ!あいつ、我らが姫君に何をしたんだ?」

「「ハリー!」」
「ジョージ、フレッド。どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ!二人で姫君をお助けに参ったのさ!なぁ?ジョージ。」
「そうさ。」
「何勘違いしてるの?セブルスは僕を送ってくれてるだけだよ。僕が熱あるのに無理して倒れたから。」
「ハリー、行くぞ。」
「うん。」

フレッドとジョージは固まっていた。

「「セブルスとハリー?!」」

二人の叫び声が聞こえた。
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