二人のオアシス。

□戦いの後に
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僕はヴォルデモートとの死闘を成し遂げた。
と言えば聞こえはいいが…犠牲が大きすぎた。

僕の身体はボロボロ、勝てたのが奇跡だ。

僕はダイアゴン横丁に戻った。

「ハリーが帰ってきたぞー!」
「真の英雄のお帰りだぁ!」

僕は皆に讃えられた。

魔法大臣が待っていて、インタビューされた。

「ハリー、真の英雄になった今の気分はどうだね。」
「大臣、僕は英雄じゃありません。英雄なら…ダンブルドア校長とシリウスは死なずにすみました。2人は僕を守って死にました。僕は、色々な人の犠牲や助けを借りて例のあの人を倒せたんです。」
「そぉか…。ハリー、だが君が英雄なのは変わらんよ。」
「違います。あの人を…止められなかったし。」
「あの人とは?」
「何でもありません。大臣、疲れておりますので…。」
「そぉだな。ゆっくり休みなさい。」

その時、観衆がざわめき出した。

それもそのはずだ。
死んだはずのダンブルドア校長が現れたのだから。
「ダンブルドア先生?!」
「なんじゃ?ハリー。」
「ゴースト?」
「残念じゃが、ゴーストではない/笑。」
「…。」
「あれは、死んだ振りだったのじゃよ。」
「死んだ振り?」
「セブルスはわざとワシを落とした。あの時、確かにワシは弱っておったし落ちた。じゃが、あの下にはバックビークがおってのぉ。ワシを安全な場所まで連れていってくれたのじゃ。」
「ダンブルドア校長、何故そんなことをする必要があったのです?」
「大臣、それはヴォルデモートを油断させるためじゃ。」
「そぉですか。」
「大臣、ハリーと二人きりにしてくれんか。」
「承知した。」

大臣の一声で皆が居なくなった。


「ハリー、まだ誰が聞いておるか分からん。ワシの部屋に行くぞ。」
「はい。」

二人で姿くらましと姿あらわしで校長室に行った。
「ハリー、真実が知りたいか?」
「知りたいです。」
「わかった。話そう。ワシが体力を取り戻すまで、看病をしてくれたのはリーマスじゃった。セブルスはな、わざと右腕になりに行ったのじゃ。セブルスはわざとハリーから離れた。ハリーを守るためにな。」
「セブルスが?」
「そぉじゃよ/微笑。セブルスとワシはハリーが最後に呪文を唱えたとき、ハリーと同じ呪文を二人で唱えておった。」
「本当ですか?!」
「本当じゃ。ハリー、お前をダイアゴン横丁の近くまで連れてきて、介抱したのはセブルスじゃ。」
「やっぱり…。」
「分かっておったのか?」
「はい。薬草の臭いがしましたから。あと、抱き抱えられたときに…セブルスの感触がしました。」
「そぉかそぉか/微笑。まだ、セブルスが許せんか?ハリー。」
「僕は…。」
「ハリー、もう我慢せんでもいいぞ。」
「えっ?」
「セブルスをまだ好いておるのじゃろ?」
「ダンブルドア先生には、敵いませんよ。」

僕は下を向いた。
涙が出そうだったから。

「ハリー、真実はこれだけじゃ。」
僕は我慢が出来なくなって、号泣した。

僕はまだセブルスを愛している。
憎もうともした…でも、無理だった。
戦いの前、セブルスに言われたことが頭から離れなかったから。

『これから、苦しい戦いになる。だが、私はハリー…お前を全力で守る。どんな手を使ってもな。』

セブルスの“どんな手を使っても”とは、ヴォルデモートの片腕になってでも…ということだったんだ。

セブルスはこうも行っていた。

『もし、無事に戻れたら…湖の畔にある秘密の小屋でまた逢おう。』

ここは、ダンブルドア先生がシリウスの為に用意した小屋だ。
隠れ家として。
それがまだ残っているんだ。

まだあの約束は…有効なのだろうか。

「ハリー、セブルスはあの場所で待っておるぞ。」
「えっ?」
「ハリー、お前が一番よく分かっておる場所じゃ。」
「まさか…。」
「行きなさい。真実はワシの口から皆に伝えておく。ワシが生きておるんじゃ、皆も信用してくれるじゃろ。」
「はい!」

僕は湖まで全速力で走った。
皆に声をかけられたけど、応えている余裕もなかった。

疲れた身体に鞭打って、走ったから息がいつもよりあがった。
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