二人のオアシス。

□優しい貴方〜僕だけを見て〜
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暗い廊下に神経質な、カツカツと言う足音が響く。

それを聞くと、大抵の生徒は縮こまる。

それは蛇寮でも例外ではない。
だが、ここに一人微笑んでその人物の登場を待っている生徒が居る。

『バタンッ!』

空気が張り詰める。

「授業を始める。今日の調合薬も誠に欠伸が出るほど、簡単なものだ。グリフィンドールでもこれくらいはできるであろう。」

『クスクスクスッ。』

スネイプの嫌味に、蛇寮の生徒だけが笑う。
グリフィンドールの生徒への嫌味と減点。
ハリーへのいびりもいつも通り酷い。

だが、殆んどの生徒が気付いてないだろうが二人は楽しんでいる。
『セブルス、また心にもないこと言ってるよ/笑。』
『ハリーは俳優になれるな。この演技、誰も見破れまい/笑。』

二人の心はこうだ。

授業も終了し、例の如くハリーだけ残される。

生徒が全員いなくなった瞬間…。

「プッ…ハハハッ。」
「くっくっくっ。」

二人は笑いだした。

「セブルス、皆の目見た?/笑。」
「ハリーを哀れむ目だろう?それだけ、演技が完璧だったのだ。」
「そぉかな?」
「そぉだ。」
「皆、こんな光景見たら固まるだろうね/笑。犬猿の仲の二人が、こぉんな仲良いんだもん。」
「固まったあと、大騒ぎになりそうだな。特に、あの双子/苦笑。」
「言えてる/苦笑。」
「ハリー、いつまでそこにいる。」
「えっ?」
「おいで/微笑。」
「うん!vV。」

ハリーはセブルスの膝の上に乗った。

「セブルス、大好きvV。」
「私もだ。ハリー。」
セブルスは、僕にだけ微笑んでくれる。
僕はとっても幸せ…なんだけど。

僕が廊下を歩いていると、セブルスがいた。
が、嫌なものまで目に入る。

「スネイプ先生。ここが分からないんですけど。教えてくれません?」
「分かった。放課後研究室に来なさい。」
「はいvV。」

まただ…。
最近なぜか、セブルスの回りには生徒がいる。
特に女生徒が多い。
何故か、相談や勉強を見てもらおうと来るらしい。
何でだよ。
皆には陰険根暗教師のはずだろ?

だから僕は、機嫌が悪いんだ。

「スネイプ先生、僕にも教えてくれませんか?」
「Mr.ポッター。今日は、予約が一杯だ。明日にしてくれたまえ。」
「そう、ですか。分かりました…。」

ショックだった。
僕が頼めばきっと、他の生徒より先に教えてくれると思ってたから。

「ハリー。」
「何?セブルス。皆に聞かれるよ。」
「生徒はいない。今日は一段と生徒が多い。それに、片付けたい仕事もあるのでな。すまん。」
「いいよ。しょうがない。それに、セブルスは“先生”だもんね。」

僕はとびっきりの作り笑顔で、セブルスに返した。

もう、いいよ!
僕、怒ったもんね。
セブルスがそんななら、僕にだって考えがある!

僕はルーピン先生の所に行った。

「ルーピン先生。」
「やぁ、ハリーどうしたんだい?」
「ルーピン先生って勉強出来る?」
「全教科ってことかい?」
「そうだよ。」
「セブルスに聞けばいいじゃないか。」
「知らないよ…セブルスなんか。」
「何かあったのかい?」
「あった…。」

僕はルーピン先生に全てを相談した。

「なるほどねぇ。そりゃあ、ハリーも怒るよね/苦笑。」
「そうだよ!」
「それで、僕の所に来たの?」
「迷惑だった?」
「いぃや。やっぱり親子だなぁと思ってね。」
「えっ?」
「学生時代、リリーも同じことをしたんだよ。」
「母さんが?」
「そぉさ。ジェームズはモテたからね/笑。」
「母さんも、ヤキモチ妬いたの?」
「そうだよ。それで、僕の所に来たんだ。それでね、仲良くしたんだ。」
「わざと?」
「そう。そしたら、ジェームズは怒って来るんだよね。」
「それで?」
「僕は冷静に返して、二人を残して部屋を出たよ。」
「その後は?」
「次の日見たら、仲直りしてたよ。」
「そぉなんだ。でも、セブルスはヤキモチ妬いてくれるかな?」
「さぁ?わからないなぁ。でも、やってみる価値はあるよね。」
「協力してくれる?」
「もちろんだよ。可愛いハリーの頼みだもん/笑。」
「ありがとう。ルーピン先生。」
「これから、楽しくなるなぁ/笑。」
「出た!元祖悪戯仕掛人/笑。」
「まぁね。でも、これで元気になってるハリーもやっぱりジェームズの子供だよ/笑。」
「だね。じゃあ、毎日来るよ。」
「なら、チョコレートとかお菓子を用意しておくよ。」
「うん!/笑。」
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