二人のオアシス。

□秘めたる思い
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「英雄殿は、まだこんな簡単な調合も出来ないんですかな?それとも、我輩の授業が退屈すぎますかな?」
「いえ…すみません。」
「グリフィンドール20点減点。」

また、減点された…。
スネイプ先生の嫌味とあの冷たい目には慣れた…はずだ。
でも、僕は今泣きそうになっている。
いつからかな?
ドラコが羨ましくなったのは…。
ドラコは当たり前のように、先生の側に居る。
嫌味も冷たい目も向けられずに。
一度、見てしまったからかな?
先生がドラコの頭を、撫でていたのを。
僕は、先生が好きなんだ。
あの、氷の様に冷たい先生が。


「はぁ。」
「ハリー、落ち込むなよ。スネイプの嫌味はいつもの事だろ?」
「うん…。」
「ハリー?私達になにか隠してない?」
「ハーマイオニー、別に隠してないよ。」
「嘘ね。ハリー、本当はスネイプ先生が好きなんでしょ?/微笑。」
「えっ、そんな///。」
「分かりやすいわね/笑。」
「ハッ、ハリー。本当なのかい?!」
「うっ、うん///。」
「ハリー、授業中泣きそうになってたものね。」
「気付いてたんだ。」

ハーマイオニーにはかなわないよ。

「ハリー?」
「何?」
「スネイプ先生に笑って欲しい?」
「そこまでは望まない。ドラコみたいに当然の様に、側にいたい。それだけだよ。」
「欲がないわね。」
「だって…。」
「わかったわ。私がキューピットをしてあげる。」
「本当?」
「えぇ。まかせといて。」
「うん。」
「じゃあ、行くわよ。」
「どっ、どこにだい?」
「ロン、貴方は来なくていいわ。ハリー、図書室に行くわよ。」
「うん。」

僕は、ハーマイオニーと図書館に行った。

「何をするの?」
「勉強よ。魔法薬学の。」
「えっ/苦笑。」
「スネイプ先生に嫌味言われないようにするのよ。」
「そっか。」
「そうよ。予習・復習の繰り返しをするの。」
「それからどうするんだい?」
「同時進行で、進んでレポートを集めるの。そしたら、毎日スネイプ先生の部屋に行けるでしょ?」
「そうだね。」
「その中で、ハリーが告白すれば良いのよ。」
「そんなの…無理だよ。」
「そんな弱気になったら駄目よ。」
「うん。」
「ハリー、勉強は私が教えるわ。だから、一緒に頑張りましょ?」
「分かったよ。」

その日から、僕とハーマイオニーの勉強の日々が始まった。

「ハーマイオニー、解毒薬って左回しだっけ?」
「違うわ。右回しよ。」
「そうだった。」
「じゃあ、ハリー。消毒薬はどっち回し?」
「右?」
「ぶー、左よ。」
「あー、もう!どうして魔法薬学は難しいんだ!」
「ハリー、これもスネイプ先生に認めてもらうためよ。」
「そうだね。」
「ハリーはすごく出来るようになったじゃない。ここ数日、スネイプ先生に嫌味言われた?」
「言われてない。」
「でしょ?」
「うん。」

確かにそうだ。
スネイプ先生は嫌味を言いに近づいては来る。
それに、質問もされる。
だけど、ちゃんと答えると一瞬驚いた顔をして別の生徒の所に行く。

勉強を始めてから、4日が経った。
今日も勉強をしている。

「ハリー、顔色悪いけど大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
「熱あるんじゃない?」
「平気さ。」
「本当に?」
「うん。」
「なら良いけど。」
「あっ、そろそろレポートを回収に行かなきゃ。」
「もうそんな時間?」
「そうだよ。ハーマイオニーと僕の分はあるから、他の人のをもらってこなきゃ。」
「じゃあ、あとでね。」
「うん。」

グリフィンドール寮に行って、皆のレポートを回収した。
ロンとネビルには借金取りが来たっていうような目をされたけど(苦笑)

「ハリー、顔が赤いよ?」
「ロン、気のせいだよ。」
「そうかい?」
「うん。」

本当は、熱がある。
朝、マグルの体温計(叔父さん家から持ってきた)で測ったら39℃あった。
僕は寮でも、夜中まで勉強してた。
過労とかが重なって、多分風を引いたんだと思う。
でも、僕は休めない。
これから、地下牢教室の近くにあるスネイプ先生の部屋に行かなきゃいけないから。

『コンコン。』
「誰だ。」
「ポッターです。」
「入りたまえ。」
「失礼します。スネイプ先生、レポートを持ってきました。」
「ここ数日、英雄殿はどうなされたのかな?いきなり優秀になられた。」
「そんなことは。」

ここでだけ、スネイプ先生は嫌味を言う。

「スネイプ先生、これで失礼します。」
「ポッター。」
「はい?」
「ご苦労だった。」
「えっ?あっ、はい!」

スネイプ先生に労いの言葉をいって貰えた。
それだけで、嬉しかった。
と同時に、緊張の糸が切れた。
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